剥離を防ぐ形状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 05:13 UTC 版)
一般的な翼型では前縁が曲線的で後縁が鋭くとがっている。また、翼の分厚い部分は前方に寄っている。これは流れが剥離しないように圧力勾配の正負を配慮したものである。翼面の前半部では、上流の方が下流よりも圧力が大きい順圧力勾配(圧力勾配が負)となっているため流れは安定である。一方、翼面の後半部では下流に進むにつれて圧力が大きくなる逆圧力勾配(圧力勾配が正)となっているため流れが不安定で、翼面の傾斜を緩やかにしないと流れが剥離しやすい。翼から流れが全面的に剥離し、翼本来の機能を果たせなくなった状態は失速と呼ばれ、迎角が大きすぎる場合と同様に翼の不適切な設計も失速を招く。失速を避けるために近代的な飛行機の翼やプロペラなどはすべて後半部は緩やかな面となるように設計されている。ほとんどの翼で前縁が丸い理由は、何らかの理由で迎角が適正値から大きくはずれた場合でもすぐには翼の全面で剥離が起きないように配慮されているためである。 同様の理屈は内部流れである縮小・拡大管路についても言える。たとえばエアインテイクやベンチュリ管、アフターバーナーや超音速風洞などでも、やはり圧力勾配を考慮した拡大/縮小率となっている。
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