刺激係数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:37 UTC 版)
「線形多自由度系の振動」の記事における「刺激係数」の解説
刺激係数は、地震のように構造物の基礎が揺れている場合に、その励振が各モードに対してどのぐらい強く寄与するのかを表す。構造物を多質点系でモデル化して、基礎の変位を y として、各質点の基礎からの相対変位を x とする。各質点は ẍi + ÿ の加速度を受けるため、運動方程式は M x ¨ + C x ˙ + K x = − M 1 y ¨ {\displaystyle {\boldsymbol {M{\ddot {x}}}}+{\boldsymbol {C{\dot {x}}}}+{\boldsymbol {Kx}}=-{\boldsymbol {M1}}{\ddot {y}}} (5.18) となる。ここで 1 は成分が全て 1 の縦ベクトルである。式5.18において、C をレイリー減衰で表し、さらに x をモード座標に置き換え、左から転置したモード行列を掛けて整理すれば、下記のような各モード座標についての式になる。 { q ¨ 1 + 2 ζ 1 ω 1 q ˙ 1 + ω 1 2 q 1 = − u 1 ⊤ M 1 M 1 y ¨ q ¨ 2 + 2 ζ 2 ω 2 q ˙ 2 + ω 2 2 q 2 = − u 2 ⊤ M 1 M 2 y ¨ ⋮ q ¨ n + 2 ζ n ω n q ˙ n + ω n 2 q n = − u n ⊤ M 1 M n y ¨ {\displaystyle {\begin{cases}{\ddot {q}}_{1}+2\zeta _{1}\omega _{1}{\dot {q}}_{1}+\omega _{1}^{2}q_{1}=-{\dfrac {\boldsymbol {u_{1}^{\top }M1}}{M_{1}}}{\ddot {y}}\\{\ddot {q}}_{2}+2\zeta _{2}\omega _{2}{\dot {q}}_{2}+\omega _{2}^{2}q_{2}=-{\dfrac {\boldsymbol {u_{2}^{\top }M1}}{M_{2}}}{\ddot {y}}\\\vdots \\{\ddot {q}}_{n}+2\zeta _{n}\omega _{n}{\dot {q}}_{n}+\omega _{n}^{2}q_{n}=-{\dfrac {\boldsymbol {u_{n}^{\top }M1}}{M_{n}}}{\ddot {y}}\\\end{cases}}} (5.19) さらに、上式の ÿ の係数を次のように変形する。 u r ⊤ M 1 M r = u r ⊤ M 1 u r ⊤ M u r = β r {\displaystyle {\dfrac {\boldsymbol {u_{r}^{\top }M1}}{M_{r}}}={\dfrac {\boldsymbol {u_{r}^{\top }M1}}{\boldsymbol {u_{r}^{\top }Mu_{r}}}}=\beta _{r}} (5.20) この βr を r 次の刺激係数と呼び、r 次モードの運動方程式は次のようになる。 q ¨ r + 2 ζ r ω r q ˙ r + ω r 2 q n = − β r y ¨ {\displaystyle {\ddot {q}}_{r}+2\zeta _{r}\omega _{r}{\dot {q}}_{r}+\omega _{r}^{2}q_{n}=-\beta _{r}{\ddot {y}}} (5.21) つまり、βr は励振加速度が各モードに対してどのぐらい寄与しているか、あるいは各モードは基礎励振に対してどのぐらい影響を受けやすいかを表している。さらに、r 次の刺激係数と固有モードの積を r 次の刺激関数と呼び、刺激関数の総和は次のように 1 に等しい。 β 1 u 1 + β 2 u 2 + ⋯ + β n u n = 1 {\displaystyle \beta _{1}{\boldsymbol {u}}_{1}+\beta _{2}{\boldsymbol {u}}_{2}+\ \cdots \ +\beta _{n}{\boldsymbol {u}}_{n}={\boldsymbol {1}}} (5.22) すなわち、対称の振動系に 1 という外力ベクトルが加わったときに各モードが受ける度合いを、刺激関数は表している。
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