分裂の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/19 02:04 UTC 版)
二核菌糸が成長し、細胞分裂を行う場合、新しく出来た細胞にも二核状態が引き継がれる。核分裂は二つの核がほぼ同時に起きるので、共役核分裂と呼ばれる。 このような菌糸では隔壁部分に特殊な構造が見られる場合があり、これは分裂した核を二つの細胞に分配するためのやり方に関連しているが、その方法はやや複雑である。 まず、先端の細胞内で核分裂が行われる。それぞれの核は分裂して二核となるが、何しろ細い菌糸の中であるから、菌糸の中で前後に並んで分裂が起きる。続いて細胞質が分裂する。この際、細胞板は後ろの方の核から分裂して生じた二核の間に形成される。結果として、後ろ側の細胞には後方の核に由来する核一つが、先端側の細胞にはもう一つの核と、先端側の核に由来する二核の、計三核が入っている。次に、先端側の細胞と次の細胞との間の隔壁部分の外側に小さな膨らみを生じ、その先端は隔壁を越えて次の細胞の表面に接触、その部分で融合して、両側の細胞の間の連絡が出来る。この連絡を通って、先端側の細胞から前側の核の一つが後ろ側の細胞に移動し、その結果、両方の細胞が共に二核を持つ状態となる。核が通り抜けた膨らみには新たに隔壁が作られる。 このため、分裂後の菌糸の隔壁の外側には、片方に小さな膨らみが見られることがあり、このような構造をかすがい連結(clamp connection)という。菌糸の隔壁にこれが見られれば、その菌糸は二核菌糸であると判断できる。それが子実体内部の菌糸でないならば、その菌はまず担子菌類と見てよい。たとえば分生子形成菌(不完全菌)の中には菌糸や分生子にこれを持つものがあり、それらは担子菌類の系統であると考えられている。ただし、見かけ上はかすがい連結をもたない二核菌糸もあるので、逆は必ずしも成立しない。
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