出演作と歌唱力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 08:34 UTC 版)
「マリア・マリブラン」の記事における「出演作と歌唱力」の解説
マリアはロッシーニの作品ともっとも関係が深いオペラ歌手で、『タンクレーディ』(主役)、『オテッロ』(デズデモーナ役と主役)、『イタリアのトルコ人』、『チェネレントラ』、『セミラーミデ』(アルサーチェ役と主役)に出演している。その他にもマイアベーアの『エジプトの十字軍(Il crociato in Egitto)』、大評判となったベッリーニの『ノルマ』、『夢遊病の女(La sonnambula)』、『カプレーティとモンテッキ(I Capuleti e i Montecchi)』(ロメオ役)にも出演した。マリアはベッリーニの『カプレーティとモンテッキ』で演じたロメオとは別に、当時有名だった別の二つのオペラでも同じキャラクターであるロメオを演じている。ツィンガレッリ の『ジュリエッタとロメオ (Giulietta e Romeo)』とヴァッカイ (Vaccai) の『ジュリエッタとロメオ (Giulietta e Romeo)』がその作品である。ベッリーニは自身の作品『清教徒』をマリアのためにメゾソプラノの歌曲として新しく書き直し、さらに新作品をマリアのために書き上げることを約束していた。しかしながらベッリーニがオペラを書き上げる前に死去したため、この約束が果たされることはなかった。 マリアの声域はG3 - E6と非常に広く、さらに無理をすればD3 - F6という極めて高音域の声も出せた。この広い声域のおかげでマリアはコントラルトの歌曲もハイソプラノの歌曲も容易くこなすことができた。マリアが舞台で見せる激しい感情表現は当時の人々から高い評価を受けている。ロッシーニ、ドニゼッティ、ショパン、メンデルスゾーン、フランツ・リストといった音楽家たちもマリアの信奉者だった。しかしながらフランス人画家ドラクロワのように、マリアには気品と教養が欠けており「芸術を理解しない大衆に媚びているだけだ」と非難した著名人もいる。マリアの声とその歌唱技法についてフランス人音楽評論家カスティル=ブラーズ (Castil-Blaze) は「マリアの声は力強く響きわたり、鮮やかで活力に満ちている。この神からの贈り物が情熱的なアリアとなって聴衆の心を揺さぶる。清澄で正確に半音階ずつ高くなるアルペジオ、力強く魅力溢れる節回し、ときに優雅にときに艶かしく響くマリアの声は、あらゆる芸術がもたらすことができる幸福感に満ちている」と絶賛している。
※この「出演作と歌唱力」の解説は、「マリア・マリブラン」の解説の一部です。
「出演作と歌唱力」を含む「マリア・マリブラン」の記事については、「マリア・マリブラン」の概要を参照ください。
- 出演作と歌唱力のページへのリンク