冪集合上の超フィルター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/14 14:14 UTC 版)
「超フィルター」の記事における「冪集合上の超フィルター」の解説
以下、集合 X の冪集合 P(X) 上のフィルターを単に X 上のフィルターといい、誤解の恐れがないとき X 上の超フィルター全体からなる集合族 Ult(P(X)) を 単にUlt(X) と書く。以下特に断りがない限りフィルターは集合族上のフィルターのみ考える。 U ∈ Ult(X) としたとき、以下のいずれか片方を満たす。 ある x ∈ X が有って U は x で生成される単項フィルター(U = {A ⊂ X : x ∈ A})。 A が X の有限部分集合ならば Ac ∈ U。 二番目は自由な(英: free)超フィルター(または非単項(英: non-principal)超フィルター)と呼ばれる非常に重要な超フィルターのクラスである。 U ∈ Ult(X) のとき、前項で定義したブール代数間の準同型 μU: P(X) → {0, 1} は P(X) 全体で定義された X 上の非自明な(μU(X) ≠0)二値有限加法的測度となる。 集合 X, Y 間の写像 f: X → Y に対し、Φf: P(Y ) → P(X) を Φf(B) := f−1(B)(B ∈ Y)とする。このとき、Φf はブール代数の間の準同型なので、U ∈ Ult(X) のとき、f[U] := {B ⊆ Y : f−1(B) ∈ U}(= Φ −1f (U))は Y 上の超フィルターである。このとき、βf: Ult(X) → Ult(Y) はストーンチェックコンパクト化による f の拡張である(ただし βf(U) := f[U])。このとき (Ult, β) はコンパクトハウスドルフ空間の圏 Comhaus から集合の圏 Set への忘却関手の左随伴関手になっている(詳しくはコンパクト化を参照)。 基本性質 X が有限集合のとき U が自由な超フィルターだとすると ∅ = Xc ∈ U より矛盾するので、有限集合上には単項フィルターしか存在しない。 無限集合 X の補有限部分集合全体 Pfin(X) := {A ⊆ X : |X ∖ A| ≤ ∞} は真のフィルターとなりフレシェ (仏: Fréchet) フィルターと呼ばれる。超フィルターが自由なこととフレシェフィルターを含むことが同値。 無限集合 X の超フィルター全体 Ult(X) の濃度は、X の冪集合 P(P(X )) の濃度と等しくなる(これはフィルター全体や自由な超フィルター全体の濃度とも等しい)。 無限集合 X 無限基数 κ < |X| にたいし、X 上の集合族 Pκ(X) := {A ⊆ X : |X ∖ A| < κ} は真のフィルターとなり(特に κ = |X| のとき)一般化されたフレシェ (英: generalized Fréchet) フィルターと呼ばれる。X 上の超フィルターが κ-一様なことと、Pκ(X) を含むことが同値。
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