内部共生ウイルスと内在性レトロウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/03 10:16 UTC 版)
「内生生物」の記事における「内部共生ウイルスと内在性レトロウイルス」の解説
ある種のレトロウイルスは胎生哺乳動物に内部共生する。胎生動物が妊娠してこの内在性レトロウイルス(endogenous retrovirus, ERV)は活性化され、大量に繁殖させられる。その役割は第一に、免疫抑制剤、おそらく母親の免疫系から胚を保護するため、と考えられている。免疫系は他個体の細胞を認識するとそれを攻撃するため、子となる胚を母親の免疫系から防御することは妊娠の成功に重要である。第二の役割は、ウイルス融合タンパク質を生産して胎盤合胞体を形成し、母体と胚との間で遊走細胞の交換を制限することである。胚発生中、母親の血液細胞は胚の上皮細胞間に入り込むことができるようになり、挿入が生じると上皮は不良となる。 ERVは元来、外部の感染性レトロウイルスであったが、進化を経て内生生物となった。免疫抑制機能は本来、感染のための能力であった。融合タンパク質は、細胞の一つに感染した後に、近接する他の細胞と感染細胞とを融合させることによって感染を拡大させる方法でしかなかったかもしれない。現代の胎生哺乳類の祖先は、このウイルスに感染した後の進化で誕生したと考えられている。おそらく、この感染によって胎児が母親の免疫系から生き延びる能力は向上したのであろう。 ヒトゲノムプロジェクトにより24科、数千種のERVが発見された。
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