内包フラーレン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 03:13 UTC 版)
フラーレン生成時にある種の金属元素をグラファイト中に加えておくと、中空の骨格内に金属原子を包み込んだフラーレンが得られる。これを内包フラーレンと呼び、M@C60 などと書き表す。これまでスカンジウム、ランタン、セリウム、チタンなどを内包したフラーレンが得られているが、アルミニウムや鉄、金などを内包したものは得られておらず、こうした選択性の理由ははっきりしていない。 金属ではなく窒素原子を閉じこめた N@C60、2つ以上の金属原子を含んだ (Sc2C2)@C72、2種以上の元素を内包した (Sc3N)@C80 などの化合物も得られている。ウランは C82 に、トリウムは C84 に入る。また、ウラン2個が C80 に入るなど、元素によって炭素数との相性がある。 京都大学の小松紘一らは、有機化学的な手法によってフラーレン骨格に穴を開け、水素分子を封入した上で穴を閉じて元のフラーレン骨格を再生し、H2@C60 という分子を人工合成することに成功している。小松はこれを「分子手術(Molecular Surgery)」と呼んでいる。 名古屋大学の坂田誠らはSPring-8の放射光と最大エントロピー法 (MEM) を用いて Sc2@C66 の構造解析を行い、孤立5員環則を破るフラーレンの存在を証明した。
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