内なる変革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:48 UTC 版)
「エックハルト・トール」の記事における「内なる変革」の解説
1977年のある夜、29歳の時、長期間に渡り自殺を考えるほどの抑鬱に悩まされた後、トールは「内なる変革」を経験したという。その夜、トールは眠りから覚め、「ほとんど耐えられないほどの」鬱に苦しんでいたが、その時、人生を変えるような至福を味わった。この時のことを思い出して本人が語る様子は以下の通りである。 私は、もうそれ以上自分自身と生きることが出来なかった。そして、答えのない疑問が生じた。自分と生きることが出来ないこの「私」は、一体誰なんだ? 自分とは何だ? 私は虚空へと吸い込まれるように感じた。その時は、一体何が起こったのか知らなかったが、満たされない過去と恐ろしい未来との間に生きている、思考が作り出した自我が、その重苦しさ、その抱える問題と共に、崩壊したのだ。翌朝、目が覚めてみると、すべてが実に穏やかだった。この平安は、自我がそこに無かったために現れたのだ。ただ存在の感覚のみ、あるいは「在ること」、ただ観察し見守っているだけだ。 次の朝、トールはロンドン市内を散歩したが、「すべてが奇跡のようで、深く穏やかだった。車の往来さえも。」この感覚は持続し、トールはいかなる場面でも、そこに潜む平安を強く感じとるようになった。トールは博士号のために勉強をするのを辞め、ほぼ二年間に渡り、ほとんどの時間を「深い祝福に満たされた状態で」、ロンドン中心部のラッセル・スクウェアの公園のベンチに座って、「世界が移ろいゆくのを見て」過ごした。トールは友人のところに居候になったり、仏教寺院に泊まったりしたが、それ以外はハムステッド・ヒースでホームレスとして野宿もした。家族はトールが「無責任で、かつ正気を失った」と思っていた。トールは、名をウルリッヒからエックハルトへと変えたが、ドイツの哲学者、神秘主義者のマイスター・エックハルトを偲んだものという見方がある一方、偶然の一致を引き起こしたとする見方もある。
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