光速より速い?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/18 07:38 UTC 版)
ファインマンプロパゲーターは最初は一見不可解に見える性質をいくつか持っている。特に、交換子とな異なり、プロパテーターは光円錐の外側でも、空間的(spacelike)な区間に急速に落ち込むにもかかわらず、非ゼロである。粒子の運動の振幅として解釈すると、このことは光速より速く仮想粒子が移動していると解釈される。このことがどのように因果律と仲裁ができるのか、直ちには明らかにはならない。つまり光速より速い仮想粒子が光速より速くメッセージを運ぶことが可能なのであろうか? 答えはNOである。古典力学では粒子と因果関係にそって移動可能な区間は同じであることに対し、場の量子論ではこのことはもはや正しくなく、そこでは作用素が互いに影響を与えることを決定する交換子である。 それでは、何がプロパゲーターの空間的(spacelike)な部分なのだろうか?場の量子論では、真空は積極的に寄与していて、粒子数(英語版)や場の値は不確定性原理により関係付けられている。場の値はたとえ粒子数がゼロであっても不確定である。局所的に計測すると(もう少し詳しく言うと、もし小さな領域上の場(の値)を平均することで作用素を計測しようとすると)、場 Φ ( x ) {\displaystyle \Phi (x)} の真空の値での重要な揺らぎを示す非ゼロの確率振幅が存在する。さらに、場の力学は空間的に補正された揺らぎを大きくする傾向にある。空間的(spacelike)に分地された場の非ゼロの時間順序積は、従って、EPR相関(EPR correlation)と類似して、これらの真空の揺らぎの中の非局所的な補正にたいする振幅を計測していることになる。実際、自由場に対しては2-相関函数としばしば呼ばれる。 場の量子論の仮定により、すべての観測可能量の作用素は互いに空間的(spacelike)な分離と可換であるので、メッセージはこれ以上送信することができない。
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