偽造されたジャンヌの遺骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 20:11 UTC 版)
「ジャンヌ・ダルク」の記事における「偽造されたジャンヌの遺骨」の解説
1867年にパリの薬局で「オルレアンの乙女ジャンヌ・ダルクの火刑跡から採取された」という説明書きがある瓶が発見された。この瓶の中には黒焦げの人間の肋骨、炭化した木材、麻布の切れ端、猫の大腿骨(魔女を火刑に処するときに火中に放り込まれた黒猫の骨だとされた)が入っていた。これらは現在シノンの博物館に所蔵されている。2006年にレイモン・ポワンカレ病院の古病理学者で法医学者でもあるフランス人フィリップ・シャルリエ(フランス語版)がこの遺物を調査した。そして、放射性炭素年代測定やさまざまな分光分析が実施された結果、紀元前6世紀から紀元前3世紀のエジプトのミイラであることが判明した。真っ黒な外観は燃焼によるものではなく、死体防腐処理に使用された薬物によるものだった。また、調査では大量のマツの花粉も見つかっており、これはミイラ制作に使用された松脂の存在と一致する。さらに燃えた跡のない麻布は、ミイラを包むときによく使われた素材でもあった。著名な香水製造者であるゲランとジャン・パトゥー(英語版)はかつて、この遺物からはバニラの匂いがすると語ったことがあったが、バニラ臭は肉体の腐敗する時に生ずる。中世ではミイラが薬の原料とされており、この遺物ももともとは薬瓶だったものが、フランスのナショナリズムが高揚した時期に偽造されたものだと考えられている。
※この「偽造されたジャンヌの遺骨」の解説は、「ジャンヌ・ダルク」の解説の一部です。
「偽造されたジャンヌの遺骨」を含む「ジャンヌ・ダルク」の記事については、「ジャンヌ・ダルク」の概要を参照ください。
- 偽造されたジャンヌの遺骨のページへのリンク