住民主体の保存活動へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/16 10:42 UTC 版)
住民から出された、建築基準の規制緩和に対する要求により、1991年5月、ソウル市は建築の高さなど制限を緩和した。これを境に多世帯住宅などの新築が本格化した。1994年には北村地区の西側にあたる景福宮周辺の建物の制限が更に緩和され、高さ10メートルから16メートル、最大5階建てとされたことから、多世帯住宅の建設が拡散し始め、北村地区全域で多くの韓屋が撤去取り壊され、急速に景観が変化していった。 この急激な韓屋の消失に危機感を持った住民たちは、住民主体による組織「社団法人鍾路北村まちづくりの会」を発足させた。1999年には同社団法人の呼びかけにより、住民、専門家、行政とともに「ソウル市政開発研究院」において、新しい北村(ブッチョン)まちづくり政策を樹立させた。 これは80年代に行われた行政主導によるものとは対照的に、あくまでも住民主導によるもので、既存の一方的な規制ではなく、住民の自発的な意思に基づくハノク(韓屋)登録制を主体にしたものであった。実生活との兼ね合いを考慮しつつも、韓屋固有の伝統、美観が維持されるよう、地域住民全体で、韓屋の修繕、支援、管理を行うことを目的として、2001年より本格的な活動を行っている。また、住民の積極的な参加活動により地区の環境を改善し、伝統と近代性が混在した魅力的なまちづくりが行われ、ソウル市により33棟の韓屋が購入され、これらを主に伝統的な職人に貸し出すなどの活動が行われている。こうした活動は、ソウルを訪れる外国人観光客にも徐々に知られるようになり、2011年にはフランスの旅行ガイドブックである、ミシュランガイドグリーン・ミシュラン コリア(仏: le Guide Vert)において、評価対象となった韓国内110ヶ所の観光地中、北村韓屋村は最高ランクの“三つ星”観光地である23ヶ所のうちの1つに選出されている。
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