他学派との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 20:22 UTC 版)
「ニュー・ケインジアン」の記事における「他学派との比較」の解説
経済学者たちが会議を開いて名称を統一したわけではないが、「新古典派統合」「ネオ=ケインズ主義」「ニュー・ケインジアン」などの用語には親近性がある。第二次世界大戦後にポール・サミュエルソンが提唱した「新古典派統合」の理念は新古典派の考えるように、広範な供給不足の原理に沿って政府と中央銀行がおおよその完全雇用を維持するであろうということであった。「ネオ=ケインズ主義」はジェームズ・トービンとフランコ・モジリアニに指導され、新古典派との統合にその理論の基礎を置くが、多くの重点はミクロ経済の基盤とマクロ経済におけるワルラスの一般均衡理論を使用することに由来する。そして私的な固定投資などにあらわれる経済生活の根本的な不確実性を強調する、ポスト・ケインズ学派のポール・デヴィッドソン (Paul Davidson) などと対比される。 かつてジョージ・W・ブッシュ大統領下の経済諮問委員会の議長だったグレゴリー・マンキューと提携したニュー・ケインジアンは、ロバート・ルーカスと新しい古典派への反応といえよう。新しい古典派はネオ=ケインズ主義の「合理的期待」の概念に光を当て、その矛盾を批判した。そしてそのユニークな完全雇用における市場清算均衡(market-clearing equilibrium)を合理的期待と結びつけた。ニュー・ケインジアンは、価格の硬直性のために市場には清算を阻む「ミクロ的基盤」があるので短期的には市場は均衡できず、よって合理的期待に基礎を置いた理論は当てはまらないと主張した。 新古典派統合が財政政策や金融政策が完全雇用を実現することを期待するのに対して、新しい古典派は価格と賃金の調整が完全雇用を短期に達成するであろうと推測する。一方でニュー・ケインジアンは「価格の硬直性」のため完全雇用は短期では自動的に達成出来ず、政府と中央銀行の政策や指導は非常に長期にわたらねばならないと主張した。
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