人称・尊称
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:30 UTC 版)
尊敬する気持ちが無いことが明らかなのにあえて尊称を使うこと(いわゆる「慇懃無礼」)により侮蔑の意を示すことがある。しかし、対象の面の皮があまりにも分厚い場合、侮蔑としての役をなさないという難点がある。 貴様 - 元は武家の書簡で使われていた敬称(あなた様と同等の意)であるが、江戸時代ごろから口語でも用いられるようになるにつれて尊敬の意味が薄まり、近世後期ごろから蔑称語になった。旧日本軍において上官が部下を呼び捨てるために用いたことで、現代では相手を罵って呼ぶ蔑称語となった。なお、旧日本軍での用法も元は天皇の子である兵(国民)を預かるという名目上、兵に対して尊称を用いる必要があったことに由来する。ただし、大正・昭和期においても貴様は同輩に対する敬称としての意味を持ち、その様子は映画や軍歌においても描写されている。 御前(おまえ、ごぜん) - 元は「御前におわす方」、つまり自分より位の高い人物に対する尊称であったが、現代では相手を蔑んだり、親しみの意を込めて呼ぶ際に用いられる。「おめえ」「てめえ」(手前がなまったものとも)は、自分を遜って呼ぶ言葉である「手前」がなまった相手を罵る罵詈雑言。これに匹敵する呼び言葉として「われ」もある(主に関西などでつかわれる)。『宇治拾遺物語』では「おのれ(ら)」としてあずま人が犬や猿への卑罵語として、ほか「おれ」「わたう(我党)」などが卑罵表現として使われている。
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