五族共和とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 社会 > 社会運動 > スローガン > 五族共和の意味・解説 

ごぞく‐きょうわ【五族共和】

読み方:ごぞくきょうわ

中国で、辛亥(しんがい)革命当時清朝廃し五族協力して共和国建設しようという標語


五族共和

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/24 05:37 UTC 版)

「共和万歳」と書かれたイラスト。中央の人物は五色の中華民国国旗を掲げている
1912年から1928年までの中華民国の国旗五色旗)。五族を象徴する五色からなる

五族共和(ごぞくきょうわ)は、中華民国北京政府が掲げていた漢族満洲族蒙古族ウイグル族チベット族の五民族の協調を謳ったスローガン。中華民国北京政府を象徴する民族統一を目指すためのスローガンとして、北京政府の国旗・五色旗と関連付けて考えられた。ただし五色のどの色がどの民族にあたるかは公式に定められたことはない。

五族共和はもともと革命派のスローガンではなく、立憲派が革命派の排満論に対抗して提唱した五族不可分論を起源としている。[1] [2] 辛亥革命勃発後、各省代表が中華民国の成立について話し合った際には、中華民国のスローガンとして採用された。

五族共和は、1912年元旦中華民国臨時政府が成立した際に孫文南京で行った中華民国臨時大総統就任演説でも掲げられていた。この臨時大統領就任宣言において、「漢満蒙回蔵の諸地を合して一国と為し、漢満蒙回蔵の諸族を合して一人のごとくする。これを民族の統一という」と孫文は述べている。しかし、孫文自身は臨時大総統就任時と北方で演説した際にしか五族共和には言及しておらず、北京政府と対決後は五族共和は誤りであったと主張し、もっぱら大中華主義による同化主義を進めていくようになる。

なお孫文はそもそも五色旗を嫌い、国旗制定論争時には中国同盟会の青天白日旗を採用するように主張したが、却下されている。[3]

清朝の政体は五族のそれぞれが別の国家とも言える政体を維持し、清朝皇帝はその五つの政体に別個の資格で君主として君臨するという一種の同君連合であった。そのため、漢族社会に深く溶け込んでいた満洲族を除くモンゴル(蒙古族)、西域ムスリム社会(回)、チベットの実質三ヵ国は、漢族による中華民国政府の統治下に置かれることをよしとせず、清朝皇帝権の消滅をもって独立国家であると主張した。

五族

『漢書』巻90の王温舒の伝では五種の民族としての意味ではなく、多くの親族という意味で五族が使用されている。漢字が同じであっても、1915年(民国4年)刊行の『辞源』では、五族を「漢満蒙回蔵、為称五族」と説明しており、上記の意味で用いられていることが明確である。

脚注

  1. ^ 片岡一忠「辛亥革命期の五族共和論をめぐって」『中国近代史の諸問題』、国書刊行会、1984年
  2. ^ 村田雄二郎「中華民族論の系譜」、飯島渉、村田雄二郎、久保亨編『シリーズ20世紀中国史1中華世界と近代』、東京大学出版会、2009年
  3. ^ 小野寺史郎『国旗・国歌・国慶―ナショナリズムとシンボルの中国近代史』、東京大学出版会、2011年

関連項目


「五族共和」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



五族共和と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「五族共和」の関連用語

五族共和のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



五族共和のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの五族共和 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS