五族譜とは? わかりやすく解説

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五族譜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 14:42 UTC 版)

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五族譜』(ペルシア語: šuʿab-i panjgāna‎)とは、フレグ・ウルスで編纂されたモンゴル帝国系図集。モンゴル帝国が把握する世界の主要な五種の地域、(1)ユダヤ史、(2)イスラーム史、(3)モンゴル史、(4)ヨーロッパ(フランク)史、(5)中国(ヒタイ)史の歴代統治者の系譜を記すことから、「五つの枝分かれしたもの」すなわち『五族譜五分支とも)』の名で知られる。日本語書籍では『シュワブ・イ・パンジュガーナ』とも表記される[1]

同じくフレグ・ウルスで編纂された『集史』を増補する目的のもと編纂された書物であり、『集史』と並びモンゴル帝国史研究上の重要史料と見なされている。

概要

元々、フレグ・ウルスの国家事業として編纂された『集史』には本文のみならず多くの挿絵・系図も挿入されているが、『五族譜』は『集史』所収の系図を原史料として編纂された書物となる。そのため、多くの点で『五族譜』は『集史』の情報・様式を踏襲しているが、中には『集史』に見られない独自の情報も含まれている。

モンゴル帝国の後継国家の1つ、ティムール朝では『五族譜』を増補し、ティムールの家系を追加した系図集『高貴系譜』が編纂されている。 [2][3]

脚注

  1. ^ 杉山2008,61-62頁
  2. ^ 赤坂2016,236-237頁
  3. ^ 本田1991,29-33頁

参考文献

  • 赤坂恒明「『五族譜』と『集史』編纂」『史観』第130冊、1994年
  • 赤坂恒明「『五族譜』モンゴル分支と『集史』の関係」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第41輯、1996年
  • 赤坂恒明「『五族譜』モンゴル分支と『集史』諸写本」『アジア・アフリカ言語文化研究』55号、1998年
  • 赤坂恒明「ペルシア語・チャガタイ語諸史料に見えるモンゴル王統系譜とロシア」小沢実・長縄宣博編著『北西ユーラシアの歴史空間』北海道大学出版会、2016年
  • 志茂碩敏『モンゴル帝国史研究 正篇』東京大学出版会、2013年
  • 杉山正明『世界の歴史〈9〉大モンゴルの時代』中公文庫、2008年(原載:1997年)
  • 本田實信『モンゴル時代史研究』東京大学出版会、1991年



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