事実婚の法的保護に関する議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 01:58 UTC 版)
「事実婚」の記事における「事実婚の法的保護に関する議論」の解説
届出を出すことのできないやむを得ない事情がある内縁の場合とは異なり、当事者間の主体的・意図的な選択によって婚姻届を出さない事実婚の法的保護のあり方、特に準婚的保護を認めるべきか否かについては学説の間に争いがある。(ただし、事実婚に限らない内縁夫婦に対する一般的な法的保護に関しては、「内縁#内縁の効果」を参照。) 典型的には以下のようなライフスタイル論と婚姻保護論の対立が挙げられる。 ライフスタイル論 日本国憲法第13条(幸福追求権)を根拠として、個人が婚姻という形態をとるか事実婚という形態をとるか選択するのは自由であり、国はこの自由を保障すべきであるとの考えから、経済上の不利益や道徳的な問題が残るとするならばこのような生活形態の選択は事実上不可能になるとし、通常の内縁と同様に生活保障を図っていく必要があるとみる学説。このような見解に対しては、当事者双方が法的拘束力にとらわれない関係を選択しようとしている場合に、同居という事実をもって内縁保護の対象として法的拘束力が及ぶことになってしまい、当事者の本来の意図に反することになり問題であるとみる考え方もある。また、この論理を徹底していくと婚姻の法的保護に届出を要件とすべきでない(事実婚主義をとるべき)ということに帰着するのではないかとの疑問を生ずるとする見解もある。 婚姻保護論 婚姻の法制度上の効果を望んでいない当事者に婚姻類似の効果を認めるべきでないとする学説。婚姻による法的効果を望むか否かは当事者間の自由な意思の下に選択すればよく、当事者がその意思で婚姻を望まず選択しなかった場合に婚姻制度上の定型的な保護を享受しえないのは当然であるとみる学説。
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