事件の総括
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 02:20 UTC 版)
事件発生時から25年、裁判開始からも20年以上が経過するという、再審を含まない刑事裁判としては稀に見る長期裁判となった。また、5回の裁判を通じて一度も有罪の判決は下されていない、1999年の第二次控訴審では弁護団が総勢239人にまで膨れ上がるなど、様々な意味で異例ずくめの事件だった。 この事件の真相は二人目の被害者の死亡経緯など未だに不明な点もあるが、事件の性格としては証人となりうる者が園児、また知的障害者であったために正確な証言を聞き出すのが難しかったことがあげられる。また捜査当局が「マンホールの蓋を園児が開けることができない」「二人の園児が同じ場所で続いて死亡し、蓋が閉じられていることが不自然」と判断したことが、最終的に山田の殺人罪起訴に繋がった。 発達心理学の専門家として裁判に関わった浜田寿美男は『証言台の子どもたち 甲山事件 園児供述の構造』の中で、法廷に立った当時の園児たちの証言を精査し、それが虚偽であることと、その虚偽性は知的障害の有無とは独立して証明できることを書いている。『記憶の闇』を書いた松下竜一は、「判決がどのようなものになろうと、私は被告の側に立つ」という主旨を作品中で書いており、被告の無罪を確信する立場で同作品を執筆している。冤罪を生み出す当時の捜査の在り方、検察側の態度が厳しく問われる事件であったと言える。
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