主量子数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/24 14:42 UTC 版)
主量子数 n は、電子の波動関数が原子半径方向の定常波を表す量子数と考えることができる。水素原子のように中心力だけを考えればよいモデルでは、固有値εn(電子に許されるエネルギー)は主量子数 n だけの関数になり、次のようにとびとびの値になる。 ϵ n = − Z 2 m e e 4 ( 4 π ϵ 0 ) 2 2 ℏ 2 1 n 2 = − ( c o n s t a n t ) n 2 {\displaystyle \epsilon _{n}=-{Z^{2}m_{e}e^{4} \over {(4\pi \epsilon _{0})^{2}2\hbar ^{2}}}{1 \over {n^{2}}}=-{(\mathrm {constant} ) \over {n^{2}}}} ここで、Z は 原子番号、 Ze で原子核の電荷、me は電子の質量、e は素電荷、ε0 は真空の誘電率である。水素原子の場合は Z = 1 である。なお、固有値εn は n2 重に縮退している。なぜなら、主量子数が n のとき、方位量子数 l と磁気量子数 ml は l = 0 , 1 , 2 , … , n − 1 {\displaystyle l=0,1,2,\dots ,n-1} m l = 0 , … , ± ( l − 1 ) , ± l → ( 2 l + 1 ) {\displaystyle m_{l}=0,\dots ,\pm (l-1),\pm l\quad \to \quad (2l+1)} 個 のいずれかの状態を取りうるから、状態の総数は各 l に対する ml を足し合わせて ∑ l = 0 n − 1 ( 2 l + 1 ) = n 2 {\displaystyle \sum _{l=0}^{n-1}(2l+1)=n^{2}} のようにn2 状態あるが、これらの状態は固有値には関与していないからである。ただし、一般には、外場の存在などにより縮退が解けるので、水素原子の固有値は主量子数 n と方位量子数 l の関数になる。以上は非相対論的に解いた結果であり、また、スピン軌道相互作用の影響やラムシフトなども考慮していない。
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