中国とアルゼンチンの軍事的接近
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:51 UTC 版)
「フォークランド紛争」の記事における「中国とアルゼンチンの軍事的接近」の解説
中華人民共和国はクーデターを起こしたビデラの中国訪問を受け入れるなど、当時のアルゼンチンの軍事政権と外交関係を持っていた数少ない共産主義の国で、アルゼンチンの主張を国際連合総会などで支持しており、1982年9月のイギリス領香港をめぐる交渉では、フォークランド紛争に勝利したばかりで自信を深めていたサッチャー首相に対して鄧小平は「香港はフォークランドではないし、中国はアルゼンチンではない」と激しく応酬したことで香港返還は決定した。 2010年7月に中国は同年4月に起きていた2010年マルビナス(フォークランド)諸島外交危機(スペイン語版)でアルゼンチンの主張を支持することを共同声明で表明した。2011年12月・2012年6月にも中国はアルゼンチンを支持し、アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス大統領は感謝の意を表明した。 2012年7月にアルゼンチンのブリチェリ国防相が中国を訪問し、中国人民解放軍の主力戦闘機として開発中の第5世代ステルス戦闘機の「殲-20」の購入にも言及した。また、アルゼンチンは中国とベトナム・フィリピンの間で問題になっている南シナ海における領有権について中国を支持すると表明した。 2015年2月にフェルナンデス大統領が中国を訪問し、056型コルベットを購入してマルビナス級と命名する計画が発表され、FC-1戦闘機・VN-1歩兵戦闘車なども購入する契約を調印した。また、この際にアルゼンチン議会で承認されたパタゴニアのネウケン州に建設された人工衛星追跡基地である深宇宙ステーション(スペイン語版)は中国人民解放軍の管轄に置かれ、秘密条項も入れた50年契約で敷地を借り上げていることから中国への主権の譲渡や中国による軍事利用の懸念を野党などが示して物議を醸した。この基地はアルゼンチンがフォークランド諸島を占領する際に衛星情報を提供する可能性が米国で取り上げられた。これらの合意はフェルナンデス大統領から交代したマウリシオ・マクリ政権で修正もしくは中止されたが、中国の目的は第二次フォークランド紛争が起きた際にアルゼンチンを支援することだったともされる。 このような中国とアルゼンチンの協力関係を背景にしたイギリス側の報告書では、「イギリスの軍事予算削減によってフォークランド防衛は弱体化し、中国からの軍事的及び財政的支援を受けたアルゼンチン軍に奪われた場合、奪還は極めて難しい」と発表している。
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