中国での売血
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 10:04 UTC 版)
中国では、売血によるHIV感染が大きな問題としてクローズアップされている。 中国での輸血用血液確保は、1920年代以来登場した専業供血者によって多くを賄ってきた。これは、採血を受けることだけによって収入を得る職業的売血者である。このほか、実際には農民や無職者も売血に参加していた。 感染血が問題となり始めたため、政府は1980年代から1990年代にかけて公民義務献血によって血液を確保するという方針を進めた。職場ごとに献血量が割り当てられるというものである。この政策の結果、献血ノルマが達成できない職場が報酬を出して献血者を募るというケースが出現し、結果的に売血制度に近い状態が再び生まれることになった。また、それ以前の売血行為も依然として地方では残ったままだった。 このような状況の中、河南省で売血を原因として数万人がHIVに感染していたという事件が発生する。成分献血では必要成分以外を供血者の体内に戻すが、複数の供血者の血液を混合して処理した上で体内に戻すという危険な方法をとったため、売血者の間でHIVが伝播していったのである。 政府は献血法を1997年に可決、翌1998年に施行して、輸血用血液の献血シェアは2004年の時点で71.5%まで上昇しているが、献血率の高い都市部に比較して地方での献血率の低さが目立っている。2005年、中国政府は今後3年以内にすべての血液を献血でまかなうこととするとの方針を発表した。
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