不在の父
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/05 10:05 UTC 版)
『オール読物』2008年1月号 子爵の滝沢吉広はどことなく浮き世離れした、邪気の無い「神様」のような人だ。そんな滝沢子爵にそっくりなルンペン(浮浪者)を、兄の雅吉が浅草の暗黒街で見かけ、目が合うと去っていったという。桐原侯爵家とも縁続きにある名門の子爵がなぜルンペンなどに? 夏休み直前、同級生で侯爵令嬢の桐原道子と話す機会を得た英子は、何の気なしに兄が見たルンペンの話をした。すると、吉広氏は幼い頃極度の人見知りだった道子が唯一恐れなく懐いていた相手だという。滝沢家では先年に、まだ7歳の長男が襲爵し、吉広本人は療養中とのことだった。吉広小父のことが気になり始めた道子が英子とベッキーさんの協力を得て屋敷を訪ね、家人に事情を尋ねると、吉広は来客でごった返す屋敷から忽然と姿を消してしまって以来行方不明だという。 1897年(明治30年)に、実際にあった男爵・松平斉失踪事件に着想を得て執筆された。
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