不在目的語構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 01:52 UTC 版)
寄生に関する多くの研究では、寄生空所はもう一つの空所、つまり上例では「真の」空所に依存していると想定している。 したがって、寄生空所が通常の取り出し空所を認可するメカニズム、たとえばwh移動や主題化に依存しているという仮説がたてられる。 しかしながら、この仮定は、いわゆる不在目的語構造(tough構造としても知られている)による問題が生ずる。 a. It is easy to appreciate her after getting to know her. –空所無し b. She is easy to appreciate __ after getting to know __p. – wh前置や話題化が欠けているのに寄生空所が存在 a. It is hard to understand this essay without reading it several times. –空所無し b. This essay is hard to understand __ without reading __p several times. – wh前置と話題化が欠けているのに寄生空所が存在 a. It will be tough to get the motor running without entirely rebuilding it. –空所無し b. The motor will be tough to get __ running without entirely rebuilding __p.– wh前置と話題化が欠けているのに寄生空所が存在 a の文には完全に空所が欠けている。 b の文は、wh移動も話題化も発生していないにもかかわらず、寄生空所が含まれている。 b の文の動詞(appreciate, understand, get)は他動詞であるがゆえ、目的語を取らなければならないから、b の文は不在目的語構造を示す。 左側の空所で示されているように、この目的語は喪失されている。 最終的にどんなものになるとしても、寄生空所の分析はここに示される欠落した目的語をもたらす現象に対応する必要がある。 移動(wh移動、話題化)は、実際には寄生空所を認可している重要な要素ではないかもしれない。
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