三井住友銀行との「逆さ合併」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 09:07 UTC 版)
「わかしお銀行」の記事における「三井住友銀行との「逆さ合併」」の解説
親会社だった三井住友銀行は、前身銀行も含めれば3度に渡る存亡の危機を何とか乗り切って営業を続けていたが、バブル崩壊後の不況で保有する株式等の有価証券の価格が下落して含み損(約8,000億円)を抱えていた。そこで、子会社のわかしお銀行を存続会社とし三井住友銀行を消滅させる合併で、三井住友銀行が保有していた不動産などの財産の含み益(約2兆円)を帳簿上現実化させて、有価証券の含み損を一掃し経営の健全化を図ることとした。 合併に際し、三井住友銀行を存続会社とした場合、有価証券の時価での再評価となってしまい、銀行の営業に必要な自己資本比率が基準を下回ってしまい、準国有化される恐れがあった。しかし、わかしお銀行を存続会社とした合併の場合、当時は合併差益として消滅会社側となる三井住友銀行の財産については簿価ではなく再評価して時価で存続財産の資産に計上することができた。 法人格で見れば、第二地方銀行が都市銀行を吸収合併したことになる。またこれにより、戦前の住友財閥以来の伝統を誇る旧住友銀行の法人格が消滅した。この手法は、三井住友銀行がプライドを捨ててがむしゃらに再建をしようとしているとして、関係者から驚かれた。このように、小さな会社を存続会社とする合併を「逆さ合併」という。なお、直後に「逆さ合併」の場合のみ消滅会社となる規模の大きい会社の財産は時価ではなく簿価での評価とすることが義務付けられたため、以降の銀行合併で同様の手法を使うことはできなくなった。 なお、合併直前に(初代)三井住友銀行は、保有していたわかしお銀行の全株式を三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)に譲渡している。このため合併の時点では、わかしお銀行と(初代)三井住友銀行は、ともにSMFGの完全子会社だった。これによって両行が資本関係上対等な立場になり、2003年3月17日、わかしお銀行が(初代)三井住友銀行を吸収合併した。合併後、三井住友銀行はわかしお銀行の営業及び業務管理部門を引き継ぐことを目的にコミュニティバンキング本部を設置。同部の下にコミュニティ統括部、コミュニティ人事部などの6部を置いた。
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