一様空間の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 02:34 UTC 版)
一様空間やそれに関係する概念を定義するために、まず記号を定義する。 記号の定義 ― Xを集合とし、U, V ⊂ X×Xを任意の部分集合とし、さらにa ∈ Xを任意の元とするとき、以下のように記号を定義する: U − 1 := { ( y , x ) ∈ X × X ∣ ( x , y ) ∈ U } {\displaystyle U^{-1}:=\{(y,x)\in X\times X\mid (x,y)\in U\}} U ∘ V := { ( x , z ) ∈ X × X ∣ ∃ y ∈ X ( x , y ) ∈ U , ( y , z ) ∈ V } {\displaystyle U\circ V:=\{(x,z)\in X\times X\mid \exists y\in X(x,y)\in U,(y,z)\in V\}} U [ a ] := { y ∈ X ∣ ( a , y ) ∈ U } {\displaystyle U[a]:=\{y\in X\mid (a,y)\in U\}} 一様空間は厳密には、近縁全体の集合 U {\displaystyle {\mathcal {U}}} が下記の抽象的な公理を満たす事をもって定義される。前述した擬距離空間における近縁が下記の公理を満たす事を容易に確かめられる: 定義 (一様空間) ― Xを集合とし、 U ≠ ∅ {\displaystyle {\mathcal {U}}\neq \emptyset } をX×Xの部分集合の族とする。 U {\displaystyle {\mathcal {U}}} が以下の性質を満たすとき、組 ( X , U ) {\displaystyle (X,{\mathcal {U}})} を、 U {\displaystyle {\mathcal {U}}} を一様構造(英: uniformity)とする一様空間(英: uniform space)といい、 U {\displaystyle {\mathcal {U}}} の元を近縁(英: entourage、英: vicinity)という: 任意のx ∈ Xと任意の近縁Uに対し、(x, x) ∈ Uである。 Uが近縁なら、V ⊃ Uとなる任意のV ⊂ X×Xは近縁である。 U、Vが近縁なら、U ∩ Vも近縁である。 任意の近縁Uには V ∘ V ⊂ U {\displaystyle V\circ V\subset U} となる近縁Vが存在する。 Uが近縁なら、U-1も近縁である。 一様構造を一般化した概念として以下のものがある: U {\displaystyle {\mathcal {U}}} が条件2,3以外の3つを満たすとき、 U {\displaystyle {\mathcal {U}}} を@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}前一様構造[訳語疑問点](英: preuniformity)という。 条件5以外の4つを満たすとき、 U {\displaystyle {\mathcal {U}}} は準一様構造[訳語疑問点](英: quasi-uniformity) であるという。 条件2,3は U {\displaystyle {\mathcal {U}}} がフィルターである事を要求しており、前一様構造はフィルター基になっている。この事から前一様構造の事を一様構造基[訳語疑問点](英: uniformity base)ともいう。なお前述した擬距離空間における例では { U ε ∣ ε > 0 } {\displaystyle \{U_{\varepsilon }\mid \varepsilon >0\}} が前一様構造になっている事を容易に確かめられる。 一方、準一様構造は一様構造の別の側面から一般化しており、擬距離から近縁を定義すれば一様構造が定まるのに対し、準擬距離[訳語疑問点](英: quasi-pseudometric)から近縁を定義すれば準一様構造が定まる。
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