一人三役
『陰獣』(江戸川乱歩) 実業家夫人小山田静子は、ひそかに大江春泥のペンネームで探偵小説を書き、さらに変装して春泥夫人をも演じる1人3役をする。性的変態でもある静子は、初老の夫に満足できず夫を殺してその罪を大江春泥に着せる。その後、静子は春泥夫婦を演ずることをやめて、春泥夫婦が失踪したように見せかける。
『Xの悲劇』(クイーン) 地質学者ストープスは、南米で発見した鉱脈の権利を仲間3人に奪われ、妻殺しの濡れ衣まで着せられる。ストープスは彼らに復讐をすべくニューヨークへ渡り、市電の車掌・汽車の深夜勤務の車掌・不在がちのセールスマンの3役を演じ分けて、3人を殺す。
『何者』(江戸川乱歩) 結城弘一は自らの足首を銃撃して、何者かに命をねらわれたかのように偽装する。そして「犯人を推理する」と称し、恋敵の甲田伸太郎を罪におとしいれる。結城弘一は1人で被害者・犯人・探偵の3役を演じたのだったが、彼のたくらみは明智小五郎によって見破られる。
★3.一人で三人の人物に扮しつつ、さらに架空の人物二人の話をして、合計五人いるように見せかける。
『古書の呪い』(チェスタトン) プリングル師が呪いの古書をオープンショウ教授に見せ、「この本を開いた2人が神隠しにあった」と語る。その後、事務員ベリッジ、ハンキー博士、そしてプリングル師が、本を開いて次々に姿を消すので教授は恐怖する。実はこれは、事務員ベリッジがハンキー博士とプリングル師を演じてから身を隠し、教授を驚かそうとした悪戯なのだった。
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