ヴェンドラーの4分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 06:38 UTC 版)
「語彙的アスペクト」の記事における「ヴェンドラーの4分類」の解説
語彙的アスペクトの分類の始まりは、究極的にはアリストテレスのキネーシスとエネルゲイアの区別にさかのぼる:33。しかし、現在知られているいくつかのアスペクト現象を発見したのは日常言語学派の哲学者たちであり、その中でもゼノ・ヴェンドラーの1957年の論文が(英語圏では)語彙的アスペクト研究の嚆矢とされ頻繁に引用されている:44。 ヴェンドラーは、様々な時間に関する表現と共起できるかどうかを基準として、英語の動詞とそれが表す事象を4つに分類した。この分類の基準となるテストは後にデイヴィッド・ダウティーによって整備・補強された。 ヴェンドラーの4分類:33States be Polish, be polite, love 状態 Activities sing, dance 動作 Achievements shatter, reach [the summit] 到達 Accomplishments cross [the street], read [the book] 達成 この4つのアスペクトタイプは、一般に、3つの意味素性を用いてそれぞれ定義される:201-202。その意味素性とは、状態的(stative) か動態的 (dynamic) か、継続的 (durative) か瞬間的 (punctual) か、限界的 (telic, bounded) か非限界的 (atelic, unbounded) か、の3つである。 状態(じょうたい、state)は、時間が経過しても変化せず(状態的)、一定時間継続する(継続的)。また、そこに達したときに事象が終了する時点(限界点)を意味に含まず、永久に続きうる(非限界的):34。 動作(どうさ、activity)は、時間の経過とともに変化する動態事象である。加えて、一定時間継続する継続事象であり、永久に続きうる非限界事象でもある:34。 到達(とうたつ、achievement)は動作と同じく動態事象であるが、到達動詞の表す事象は瞬間的に生じる変化であり、継続的ではない。また、変化の生じる時点がその限界点であるので、限界的である:34。 達成(たっせい、accomplishment)も動態事象であり、限界点を持つ限界事象である。また、その限界点に向かって進む継続事象でもある:35。 ヴェンドラーの4分類の意味素性による定義:35状態 States 状態 継続 非限界 動作 Activities 動態 継続 非限界 到達 Achievements 動態 瞬間 限界 達成 Accomplishments 動態 継続 限界
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