ロトとその娘たち (グエルチーノの絵画)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ロトとその娘たち (グエルチーノの絵画)の意味・解説 

ロトとその娘たち (グエルチーノの絵画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 06:58 UTC 版)

『ロトとその娘たち』
フランス語: Loth et ses filles
英語: Lot and His Daughters
作者グエルチーノ
製作年1651年
種類キャンバス上に油彩
寸法172 cm × 222 cm (68 in × 87 in)
所蔵ルーヴル美術館パリ

ロトとその娘たち』(ロトとそのむすめたち、: Loth et ses filles: Lot and His Daughters)は、イタリアバロック絵画の巨匠グエルチーノがにキャンバス上に油彩で制作した絵画である。『旧約聖書』の「創世記」 (19:30-38) にあるロトの逸話を主題としている[1]。本来、ジロラモ・パネッシ (Girolamo Panessi) のために描かれたが、1651年にマントヴァカルロ2世・ゴンザーガ=ネヴェルスに手渡され、18世紀初頭までマントヴァ公爵家に所蔵されていた[2]。1817年にルイ18世のコレクションに入り[2]、現在パリルーヴル美術館に所蔵されている[1][2]

作品

「創世記」の記述によると、ソドムとゴモラの町は悪徳と淫乱に満ちていた。ロトが移り住んでいたソドムは男色がはびこっていたため、神はゴモラとともに滅ぼそうとした。それを聞いたアブラハムはロトを救うために必死で神と交渉する。神は、ソドムを滅ぼす前に2人の天使を派遣して、様子を見ることにした[3]

ロトに歓待された天使たちは、彼に神がソドムを滅ぼそうとしているので、すぐ脱出しなくてはならないことを告げる。そして、ロトとその妻、娘たちに脱出する際、決して後ろを振り返ってはならないと忠告した。ロットの家族がソドムを去ると、神は硫黄と火をソドムとゴモラに降らせ、2つの町を焼き尽くした[3]。この時、ロトの妻だけは後ろを振り返ってしまったので、塩の柱となってしまう[1][3]。ロトと2人の娘たちは山の洞窟に身を寄せ、なんとか生き延びることができた。その後、ロトの娘たちは子孫が絶えることを危惧して、それぞれ父親を酔わせて交わり、彼の子供を産んだ[1][3]

「創世記」では、このような父娘の近親相姦は非難されているわけではなく、官能的な話でもない。民族の存続を画した娘たちの自己犠牲として捉えているからである[1]。絵画に描かれているのは、ロトの半裸の長女が彼の盃に酒を注いでいるところである。ロトは酒しか見ていないが、長女は豊満な身体を鑑賞者の目に晒している。場面の挑発的な性質が彼女の燃えるような赤い上着によって強調されている。画面中央の背景には燃える都市が見えるが、その手前に塩の柱に変えられたロトの妻が灰色で表されている[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて、2011年、160頁。
  2. ^ a b c Loth et ses filles”. ルーヴル美術館公式サイト (フランス語). 2024年4月2日閲覧。
  3. ^ a b c d 大島力 2013年、40頁。

参考文献

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  ロトとその娘たち (グエルチーノの絵画)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ロトとその娘たち (グエルチーノの絵画)」の関連用語

1
100% |||||

ロトとその娘たち (グエルチーノの絵画)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ロトとその娘たち (グエルチーノの絵画)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのロトとその娘たち (グエルチーノの絵画) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS