ルノー・ER100とは? わかりやすく解説

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ルノー・ER100

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/03 07:34 UTC 版)

ルノー・PR100フランス語版 > ルノー・ER100
ルノー・ER100
ベルリエ・ER100
ルノー・ER180
ルノー・PER180
ER100リヨン)(1980年撮影)

PER180ナンシー)(1986年撮影)
基本情報
製造所 ベルリエフランス語版ルノー
製造年 1976年 - 1990年
主要諸元
電気方式 直流600、750 V
架空電車線方式
最高速度 ER100 60 km/h
ER180 62 km/h(架線集電時)、52 km/h(充電池使用時)
PER180 60 km/h
車両定員 ER100 98人
ER180 145人
PER180 141 - 162人(着席41 - 46人)
車両重量 ER100 10.86 t
PER180 17.62 t
全長 ER100 11,522 mm
ER180 17,560 mm
PER180 17,792 mm
全幅 ER100 2,500 mm
PER180 2,500 mm
全高 ER100 3,380 mm
主電動機 直流電動機
主電動機出力 ER100 125 kW
PER180 185 kW、198 kW
制御方式 抵抗制御電機子チョッパ制御
制動装置 回生ブレーキ空気ブレーキ(電空併用ブレーキ)
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6]に基づく。
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ER100は、フランスの自動車メーカーであったベルリエフランス語版および同社を吸収したルノーが展開したトロリーバス車両。フランス各都市のトロリーバスの近代化を目的に開発され、連節式車両PER180と共に長期に渡って生産が実施された[1][3]

概要

開発までの経緯

1960年代まで、フランス各地に存在していたトロリーバス向けの車両はヴェトラフランス語版(Vétra)によって開発・製造が実施されていたが、同社が1964年に破産して以降、残存していた各都市のトロリーバスは車両の更新が滞る事態となった。そのような中で1973年、トロリーバスが現存する都市の1つであったリヨンの市長はトゥールで実施された公共交通会議の中で自動車メーカーのベルリエフランス語版との間にトロリーバス開発に関する交渉を行う旨を提案し、同年11月に同社は設計事務所への調査を承認した。そして1974年、当時フランスに残存していた5都市のトロリーバスの運営事業者による委員会により、新たな標準型トロリーバスの使用を研究した後、1975年12月にベルリエに向けて共同発注を実施した。これが「ER100」および「ER180」「PER180」である。この開発にあたっては、ベルリエおよび同社を合併したルノー(RVI)に加え、電気機器の設計に関してトラクション・カンパニー・エレクトロ・メカニク・エリコン(Traction-Compagnie électro-mécanique-Oerlikon)およびSOVEL(現:アルストム)の協力を受けている[1][3]

構造

ER100をはじめとした各形式の車体は、開発当時ベルリエ(→ルノー)が展開していたバスPR100フランス語版連節バスPR180と同型のものが用いられている。これらのバス車両との相違点は架線からの集電に対応した走行機器であり、屋根上には集電装置としてポールが設置されている。また、車体後部には直流電動機が設けられており、速度制御は後述の通り抵抗制御および電機子チョッパ制御に対応した装置によって行われる。また、ER100には停電などの緊急時に備え、直流電動機を稼働させる発電機能を備えたディーゼルエンジンも搭載されている一方、PER180には架線が無い区間でも長距離運転が可能なよう通常のバスと同様のディーゼルエンジンを始めとした機器が設置されている[1][3][5]

車種

ER100およびPER180は、搭載している機器の違いにより以下の形式に細分化されている[1][3][4][5]

  • ER100 - 全長11.52 mの車両。
  • ER180 - 全長17.56 mの連節式車両。充電池を搭載し、架線が無い区間でも電力を用いた走行が可能となっている試作車。
  • PER180 - 全長17.79 mの連節式車両。バスと同様のディーゼルエンジンを搭載し、架線が無い区間でも長距離走行が可能である。

運用

一連のベルリエ(→ルノー)製のトロリーバス車両のうち、最初に開発されたのはER100(ER100.R)で、1976年に試作車が公開され、グルノーブル市内での試運転を経て改良を加えた量産車が1977年から1981年にかけてフランス各都市に導入された。続けて1981年からは電力効率を向上させたER100.Hの製造が開始され、両形式合わせて1990年までに合計324両が生産された[1][2][3]

一方、連節式車両のPER180についても1982年に開通したナンシーのトロリーバス(ナンシー・トロリーバス)向け車両を皮切りにフランス各都市に導入された。また、フランス国外に向けてもアメリカ合衆国の規格に適合した車両が試作されシアトルシアトル・トロリーバス)で試運転が実施されたが、正式な導入には至らなかった[2][4][5]

試作車のみが製造されたER180やシアトル向け車両を除き、ER100およびPER180が導入された都市は以下の通り。その後、老朽化に伴い大半が廃車されたが、一部はフランス国外のトロリーバス路線に譲渡されている他、保存されている車両も存在する。また、グルノーブルのように導入後に路線が全廃した車両がフランスの別の都市へ譲渡された事例もある[1][2][7]

ER100・PER180 導入都市一覧
導入国 都市 導入両数 備考
ER100 PER180
フランス グルノーブル
(グルノーブル・トロリーバスフランス語版)
50両 8両
リモージュ
(リモージュ・トロリーバス)
40両
リヨン
(リヨン・トロリーバス)
136両
マルセイユ
(マルセイユ・トロリーバスフランス語版)
48両
サン=テティエンヌ
(サン=テティエンヌ・トロリーバス)
25両 10両
ナンシー
(ナンシー・トロリーバス)
48両

関連項目

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e f g Trolleybus urbain n° 749”. AMITRAM. 2025年3月26日閲覧。
  2. ^ a b c d LES TROLLEYBUS FRANCAIS”. Association Française des Amis des Chemins de Fer (2017年4月6日). 2025年3月26日閲覧。
  3. ^ a b c d e f F.Fabre & A. Klose 1987, p. 9.
  4. ^ a b c F.Fabre & A. Klose 1987, p. 10.
  5. ^ a b c d F.Fabre & A. Klose 1987, p. 11.
  6. ^ Trolleybus Renault PER180”. Renault. 2025年3月26日閲覧。
  7. ^ Константин Климов (2013年). “Транспортный заповедник Еревана”. Грузовик Пресс. 2025年3月26日閲覧。
  8. ^ Martin Harák (2014). Autobusy a trolejbusy východního bloku. Grada Publishing. pp. 165,173. ISBN 9788024747385 
  9. ^ Marcin Połom; Tadeusz Palmowski (7 December 2009). ROZWÓJ I FUNKCJONOWANIE KOMUNIKACJI TROLEJBUSOWEJ W GDYNI (PDF) (Report). UNIWERSYTET GDAŃSKI. pp. 70–71. 2018年11月10日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2025年3月26日閲覧

参考資料




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