ラム‐シフト【Lamb shift】
ラムシフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/26 07:38 UTC 版)
ラムシフト (英: Lamb shift) は、原子中の電子のエネルギー準位がずれる現象である。
1947年、ウィリス・ラムとポリカプ・クッシュが、超短波による核磁気共鳴実験から、水素原子の2s軌道、2p軌道の電子のエネルギー準位に、ごく僅かに差があることを発見した。
ディラックの電子論によると水素原子の2s、2p軌道は縮退しているとされ、ラムシフトは説明できなかった。後に、ラムシフトは真空エネルギーのゆらぎと軌道上の電子との相互作用により生じることが明らかとなった。このためラムシフトはホーキング放射の予測に重要な役割を果たした。
この現象が最初に観測されたのは1947年のラム・ラザフォード実験で行われた水素原子のマイクロ波スペクトル計測である。この結果が契機となり繰り込み理論が生まれ、朝永振一郎、リチャード・P・ファインマン、ジュリアン・シュウィンガー、フリードマン・ダイソンらにより量子電磁力学の完成に至った。ラムはこの功績により1955年にノーベル物理学賞を受賞した。
現在、水素原子のほかヘリウム原子で確認されている。
導出
これらの導出はウェルトンの量子光学[1]による。
真空の電磁場のゆらぎは原子核の電位ポテンシャルに揺らぎを与え、電子の位置に揺らぎを与える。この揺らぎが準位のずれを引き起こす。電子の位置エネルギーの差は以下の式で表される。
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ラムシフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/20 00:42 UTC 版)
「シェルター・アイランド会議」の記事における「ラムシフト」の解説
ウィリス・ラムはマイクロ波ビームで水素原子を精密測定すると二つのとりうる量子状態の一つでポール・ディラックが予想したよりも僅かに大きなエネルギーを持つことを発見した。この現象はラムシフトと呼ばれることとなった。ラムは数週間前に(ロバート・レザーフォードと共に)このシフトを発見したために、この点が会議の主要な論点となった。ディラック理論が不完全であることは知られていたが、この僅かなエネルギー差は、量子電磁力学(QED)の優位性を示すことになった。 もう一つの劇的な発見が、イジドール・イザーク・ラービにより会議で報告された。これは電子の磁気モーメントの正確な測定であったが、ラムの発見の影に隠れてしまった。
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