量子論における縮退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/09 19:52 UTC 版)
物理的状態が縮退している場合、その物理的状態は対称性をもっていることが多い。量子論で取り扱うと、電子配置と電子のエネルギー準位に縮退が起こる。縮退の中でもこの電子配置やエネルギー準位の縮退は、化学や物理学において大変重要である。例えば、通常d軌道は5重に縮退している。また、水素原子ではエネルギー準位は主量子数にのみ依存し、2sと2p、3sと3pと3d軌道などが縮退している(ただしスピン軌道相互作用の影響やラムシフトは考慮していない)。 量子力学では、物理的状態はハミルトニアンの固有ベクトルに対応し、物理的状態のエネルギー準位はハミルトニアンの固有値に対応している。よって、ある固有値に対応する固有ベクトル(固有関数)が複数存在する場合、物理的な現象としても縮退がおきる。そのため物理学などでは、ある固有値に対して n {\displaystyle n} 個の固有ベクトルが対応することを「固有値が(n重に)縮退している」とよび、この n {\displaystyle n} のことを縮退度という。この縮退という用語の用い方は、物理学やそれに関連する物理化学などの分野におけるもので、数学用語ではない。
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