モーゼス・マローンとは? わかりやすく解説

モーゼス・マローン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/23 22:23 UTC 版)

モーゼス・マローン
Moses Malone
2005年のマローン
基本情報
愛称 Chairman of the Boards
国籍 アメリカ合衆国
生年月日 1955年3月23日
没年月日 (2015-09-13) 2015年9月13日(60歳没)
出身地 バージニア州ピーターズバーグ
死没地 バージニア州ノーフォーク
身長 208cm (6 ft 10 in)
体重 118kg (260 lb)[1]
キャリア情報
高校 ピーターズバーグ高等学校英語版
ABAドラフト 1974年 / 3巡目 / 全体28位[1]
ユタ・スターズから指名
プロ選手期間 1974年–1995年
ポジション C
背番号歴 22, 13, 20, 21, 24, 2, 4, 8
永久欠番 ロケッツ  24 
シクサーズ  2 
指導者期間 2006年–2009年
経歴
選手時代:
1974–1975 ユタ・スターズ
1975–1976 スピリッツ・オブ・セントルイス
1976 バッファロー・ブレーブス
19761982 ヒューストン・ロケッツ
19821986 フィラデルフィア・76ers
19861988 ワシントン・ブレッツ
19881991 アトランタ・ホークス
19911993 ミルウォーキー・バックス
1993–1994 フィラデルフィア・76ers
1994–1995 サンアントニオ・スパーズ
コーチ時代:
20062009 フィラデルフィア・76ers (AC)
受賞歴

NBA時代


ABA時代


ABA・NBA通算成績
得点数 29,580 (20.6 ppg)
リバウンド数 17,834 (12.2 rpg)
ブロック数 1,889 (1.3 bpg)
Stats  Basketball-Reference.com
Stats  NBA.com 選手情報 NBA.Rakuten
バスケットボール殿堂入り選手 (詳細)

モーゼス・ユージン・マローン (Moses Eugene Malone, 1955年3月23日 - 2015年9月13日) は、アメリカ合衆国バージニア州ピーターズバーグ出身の元プロバスケットボール選手である。ABAおよびNBAで活躍した往年の名選手である。マローンの引退を最後に、ABAでプレーした経験を持つ選手は現役からいなくなった。愛称はリバウンドの強さから「Chairman of the Boards」と呼ばれ[2]、ABAとNBAで計9回のオフェンスリバウンドにおいてシーズンリーダーを誇る。

これまでに、NBA最優秀選手賞 (MVP) に3回、NBAオールスターに12回、オールNBAチームに8回選出されたセンターである。1983年にフィラデルフィア・76ersNBAチャンピオンに導き、リーグとファイナルの両方でMVPを受賞した数少ない選手の1人であり、2001年バスケットボール殿堂入りを果たした。マローンはNBA史上最も偉大な選手の1人として評されているにもかかわらず[3]、NBA史上最も過小評価されている選手の1人とも見なされている[3][4]

経歴

ABA時代

マローンは地元バージニア州のピーターズバーグ高校を率いて、2回の州チャンピオン、50連勝などの実績を残した。1974年に卒業するとABAのユタ・スターズに入団した。1990年代になり高校卒業後にプロ入りする選手は珍しくなくなったが(現在は高校卒業後1年は経過しないとドラフト指名することができない。)、マローンは何人かの一人だった[5]。以前にもジョー・グラボスキーなどが高卒でプロ入りした。ルーキーシーズンから平均18.8ポイントをあげ、ABAオールスターゲーム選出、ABAオールルーキー・ファーストチームに選出される。翌年はセントルイス・スピリッツでプレーをする。

NBAロケッツ時代

1976年にはABAの解体がありマローンはチームを転々とする。最初にABA選手ドラフトでポートランド・トレイルブレイザーズに引き抜かれるがバッファロー・ブレーブスにトレードされる。短い期間プレーした後、最終的にヒューストン・ロケッツに移籍した。マローンの入団で当時 弱小チームだったロケッツは強豪と肩を並べるようになった。1981年には彼の活躍でNBAファイナルまで進出した(相手はラリー・バードを擁したボストン・セルティックス)。ロケッツに所属する間に1979年1982年の2回最優秀選手賞 (MVP)に輝いている。

NBAシクサーズ時代

翌シーズンからマローンはフィラデルフィア・セブンティシクサーズに移籍する。当時、"ドクターJ" ジュリアス・アービングを擁したシクサーズは打倒セルティックスに燃えており、東部地区では強豪に数えられる存在になっていた。今一歩のところで優勝を逃していたシクサーズは前年度MVPのマローンを切り札として獲得したのだった。マローンも期待通りの活躍をみせ、1982-83シーズンにシクサーズは優勝を果す。マローンはレギュラーシーズンのMVP、ファイナルのMVPの2冠を達成する。その後も2年連続でプレーオフに進出するが優勝は出来なかった。

その後

マローンは1986年ワシントン・ブレッツにトレードされる。ブレッツでも活躍をみせ、2シーズン連続でプレーオフ進出の原動力となった。

1989年から3シーズンはアトランタ・ホークス1992年から2シーズンをミルウォーキー・バックス1993年から1シーズンをシクサーズ、1994年から1シーズンをサンアントニオ・スパーズでそれぞれプレーをした。

1995年に引退したマローンは、1996年にNBA史上最も偉大な50選手に選出され、2001年に殿堂入りした。

2015年9月13日、60歳で死去。バージニア州のホテルで意識不明になっている所を発見され、その後死亡が確認された[6][7]

個人成績

略称説明
  GP 出場試合数   GS  先発出場試合数  MPG  平均出場時間
 FG%  フィールドゴール成功率  3P%  スリーポイント成功率  FT%  フリースロー成功率
 RPG  平均リバウンド  APG  平均アシスト  SPG  平均スティール
 BPG  平均ブロック  PPG  平均得点  太字  キャリアハイ
  優勝シーズン     リーグリーダー

レギュラーシーズン

シーズン チーム GP GS MPG FG% 3P% FT% RPG APG SPG BPG PPG
1974–75 UTS (ABA) 83 38.6 .571 .000 .635 14.6 1.0 1.0 1.5 18.8
1975–76 SSL (ABA) 43 27.2 .512 .000 .612 9.6 1.3 .6 .7 14.3
1976–77 BUF 2 3.0 .5 .0 .0 .0 .0
1976–77 HOU 80 31.3 .480 .693 13.4 1.1 .8 2.3 13.5
1977–78 HOU 59 35.7 .499 .718 15.0 .5 .8 1.3 19.4
1978–79 HOU 82* 41.3* .540 .739 17.6* 1.8 1.0 1.5 24.8
1979–80 HOU 82* 38.3 .502 .000 .719 14.5 1.8 1.0 1.3 25.8
1980–81 HOU 80 40.6 .522 .333 .757 14.8* 1.8 1.0 1.9 27.8
1981–82 HOU 81 81 42.0* .519 .000 .762 14.7* 1.8 .9 1.5 31.1
1982–83 PHI 78 78 37.5 .501 .000 .761 15.3* 1.3 1.1 2.0 24.5
1983–84 PHI 71 71 36.8 .483 .000 .750 13.4* 1.4 1.0 1.5 22.7
1984–85 PHI 79 79 37.4 .469 .000 .815 13.1* 1.6 .8 1.6 24.6
1985–86 PHI 74 74 36.6 .458 .000 .787 11.8 1.2 .9 1.0 23.8
1986–87 WSB 73 70 34.1 .454 .000 .824 11.3 1.6 .8 1.3 24.1
1987–88 WSB 79 78 34.1 .487 .286 .788 11.2 1.4 .7 .9 20.3
1988–89 ATL 81 80 35.5 .491 .000 .789 11.8 1.4 1.0 1.2 20.2
1989–90 ATL 81 81 33.8 .480 .111 .781 10.0 1.6 .6 1.0 18.9
1990–91 ATL 82* 15 23.3 .468 .000 .831 8.1 .8 .4 .9 10.6
1991–92 MIL 82 77 30.6 .474 .375 .786 9.1 1.1 .9 .8 15.6
1992–93 MIL 11 0 9.5 .310 .774 4.2 .6 .1 .7 4.5
1993–94 PHI 55 0 11.2 .440 .000 .769 4.1 .6 .2 .3 5.3
1994–95 SAS 17 0 8.8 .371 .500 .688 2.7 .4 .1 .2 2.9
通算 1455 784 34.0 .495 .096 .760 12.3 1.3 .8 1.3 20.3

プレーオフ

シーズン チーム GP GS MPG FG% 3P% FT% RPG APG SPG BPG PPG
1975 UTS (ABA) 6 39.2 .638 .667 17.5 1.5 .0 1.5 22.7
1977 HOU 12 43.2 .500 .692 16.9 .6 1.1 1.8 18.8
1979 HOU 2 39.0 .528 .722 20.5 1.0 .5 4.0 24.5
1980 HOU 7 39.3 .536 .000 .767 13.9 1.0 .6 2.3 25.9
1981 HOU 21 45.5 .479 .000 .712 14.5 1.7 .6 1.6 26.8
1982 HOU 3 45.3 .433 .933 17.0 3.3 .7 .7 24.0
1983 PHI 13 40.3 .536 .000 .717 15.8 1.5 1.5 1.9 26.0
1984 PHI 5 42.4 .458 .969 13.8 1.4 .6 2.2 21.4
1985 PHI 13 13 38.8 .425 .000 .796 10.6 1.8 1.3 1.7 20.2
1987 WSB 3 3 38.0 .447 .952 12.7 1.7 .0 1.0 20.7
1988 WSB 5 5 39.6 .462 .000 .825 11.2 1.4 .6 .8 18.6
1989 ATL 5 5 39.4 .500 1.000 .784 12.0 1.8 1.4 .8 21.0
1991 ATL 5 0 16.8 .200 .929 6.2 .6 .4 .2 4.2
通算 100 26 40.3 .487 .143 .756 14.0 1.5 .8 1.6 22.1

通算成績・受賞歴

通算成績

得点、リバウンド、アシストなどの成績は下記の通りである。ABA時代の数字も含む。[8]

レギュラーシーズン (21シーズン) ポストシーズン (13シーズン)
1,455試合総計 ゲーム平均 40分平均 100試合総計 ゲーム平均
ポイント数 29,580 20.3 23.9 2,213 22.1
リバウンド数 17,834 12.3 14.4 1,400 14.0
アシスト数 1,936 1.3 1.6 145 1.5
ブロック 1,889 1.3 1.5 130 1.3
スティール 1,199 0.8 1.0 71 0.7

主な受賞トピックス

  1. ABAオールルーキー1stチーム:1975
  2. オールスターゲーム出場:12回 (1975, 1978, 1979, 1980, 1981, 1982, 1983, 1985, 1986, 1987, 1988, 1989)
  3. NBA最優秀選手賞 (MVP):3回 (1979, 1982, 1983)
  4. NBAファイナル最優秀選手賞 (MVP):1回 (1983)
  5. NBAオール1stチーム:4回 (1979, 1982, 1983, 1985)
  6. NBAオール1stディフェンスチーム:1回 (1983)
  7. NBAオール2ndチーム:4回 (1980, 1981, 1984, 1987)
  8. NBAオール2ndディフェンスチーム:1回 (1979)
  9. NBAリバウンド王:5回 (1979-1444, 1981-1180, 1982-1188, 1983-1194, 1985-1031)
  10. NBAオフェンシブリバウンド歴代1位:6,731リバウンド
  11. NBAフリースロー得点歴代2位:8,531ポイント
  12. NBAベスト50選手:1996年

脚注

  1. ^ Moses Malone”. NBA.com. 2020年4月23日閲覧。
  2. ^ Three-time NBA MVP Moses Malone dies at age 60”. ESPN (2015年9月13日). 2015年9月13日閲覧。
  3. ^ a b Adande: Moses Malone was NBA's most underappreciated great” (英語). ESPN.com (2015年9月13日). 2021年10月18日閲覧。
  4. ^ 50 Most Underrated NBA Players in History” (英語). Bleacherreport.com (2011年5月10日). 2022年2月22日閲覧。
  5. ^ High School Players to enter NBA”. infoplease.com. 2012年3月18日閲覧。
  6. ^ Three-time NBA MVP Moses Malone dies at age 60”. ESPN.com (2015年9月13日). 2025年3月23日閲覧。
  7. ^ NBA=殿堂入りのマローン氏、60歳で死去”. REUTERS (2015年9月14日). 2025年3月23日閲覧。
  8. ^ Basketball-reference.com Moses Malone Statisticsより引用。March 1, 2007

関連項目

外部リンク





固有名詞の分類

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アメリカ合衆国のバスケットボール選手 ウィリー・ナオルス  エルジン・ベイラー  モーゼス・マローン  マイケル・タブ  シャノン・ブラウン
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