モンマジュールの夕暮れ
英語:Sunset at Montmajour
「ひまわり」などの油彩画で知られるヴィンセント・ヴァン・ゴッホが1888年前後、死去2年前の35歳頃に描いたと見られる風景画。長らく贋作とみなされてきたが、化学的分析と考証とを経て2013年9月に真作と断定され、約120年ぶりにゴッホの作品として再発見された。
モンマジュールの夕暮れは個人所有となっているが、発見を記念して2013年9月から1年間、オランダのアムステルダム美術館で展示公開されるという。
長らく真贋が定まらず、近年になって真作とされた著名画家の作品としては、レオナルド・ダヴィンチによる「アイルワースのモナリザ」もある。アイルワースのモナリザは、モナリザ財団の鑑定により、2012年9月に真作と発表された。ただしこの鑑定結果には意義を唱える声もある。
関連サイト:
'Sunset at Montmajour': Long-lost Vincent Van Gogh painting discovered - NBCNews.com
モンマジュールの夕暮れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 07:35 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動フランス語: Coucher de soleil à Montmajour オランダ語: Zonsondergang bij Montmajour | |
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作者 | フィンセント・ファン・ゴッホ |
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製作年 | 1888年 |
種類 | 油彩 |
寸法 | 73.3 cm × 93.3 cm (28.9 in × 36.7 in) |
『モンマジュールの夕暮れ』(仏: Coucher de soleil à Montmajour、蘭: Zonsondergang bij Montmajour、英: Sunset at Montmajour)はゴッホが1888年に描いた油彩画。署名が無く[1]長らく贋作と考えられてきたが、2013年9月9日にゴッホの作と鑑定された。
絵は縦73.3センチ×横93.3センチの油彩の風景画で[2]、前景にオークの茂み[3]、左手奥にモンマジュール修道院の廃墟が描かれ[4]、それらが夕暮れの空に浮かび上がっている。これはゴッホが当時住んでいたアルルの町外れにあたるモンマジュールの丘の風景である[2]。
ゴッホがこの絵を描いたのは死の2年前、『ひまわり』や『ファンゴッホの寝室』などが制作された、最も脂が乗っていた時期にあたる[2][5]。その後、弟テオのコレクションとなり[5]、1901年に売却された[2]。1908年にノルウェーの実業家・収集家の Christian Nicolai Mustad は当時のオスロ国立美術館館長の勧めに従ってこの絵を購入したが[4]、のちにフランスの駐スウェーデン大使からこれは贋作か別の画家の絵だろうと指摘され[4]、憤激した所有者はこの絵を屋根裏に放り込み、そのまま長い間放置されることになった[3][6]。当時は贋作が横行し、収集家たちはとりわけナーバスになっていた[4]。
現在の所有者(詳細は伏せられている[3])は、2011年にこの絵をアムステルダムのゴッホ美術館に持ち込んで真贋の鑑定を依頼した[3]。そして同美術館は、使用された絵の具の種類、変色の具合、描画技法などを最新機器で詳細に検証し、ゴッホの作であることを確認した[3]。またゴッホが弟のテオに宛てた1888年夏の手紙2通にも、この絵に関するとみられる言及があった[2]。7月5日の手紙にはこうある[4][7]。
昨日の夕暮れ時、とても小ぶりのねじれたオークが何本も生えている岩ばった荒れ地にいた。向こうの丘には廃墟があって、谷は麦畑になっていた。それは、これ以上ないほどにロマンチックで、モンティセリの絵のようだった。茂みと地面には太陽から真黄色の光が降り注ぎ、まさに黄金のシャワーだった。
ゴッホ美術館は2013年9月9日に鑑定結果を発表し、館長のアクセル・リューガー (Axel Rueger) は「これほど大きな発見はファン・ゴッホ美術館史上初めて」と[5]、主任研究員のルイ・ファン・ティルボルフ (Louis van Tilborgh) は「すべての鑑定結果がゴッホの作品であることを示している」と述べた[6]。フルサイズのゴッホの絵が新たに発見されたのは1928年以来のこととなる[1]。
真作認定当時、この絵は2013年9月24日から一年間にわたり、所有者から借り受けて同美術館で公開される予定と報じられた[6]。
脚注
- ^ a b “New Vincent Van Gogh painting identified” (英語). BBC. (2013年9月9日) 2013年9月15日閲覧。
- ^ a b c d e “ゴッホの風景画を発見=絶頂期の作品-オランダ” (日本語). 時事ドットコム (時事通信社). (2013年9月9日) 2013年9月10日閲覧。
- ^ a b c d e 野島淳 (2013年9月10日). “「ゴッホの偽物」本物だった 「ひまわり」と同時期作品” (日本語). 朝日新聞デジタル (朝日新聞社) 2013年9月10日閲覧。
- ^ a b c d e Mark Brown (2013年9月9日). “Newly discovered Van Gogh painting kept in Norwegian attic for years” (英語). theguardian.com (Guardian News and Media Limited) 2013年9月10日閲覧。
- ^ a b c “ゴッホの風景画を発見、絶頂期の作品か” (日本語). CNN.co.jp (Cable News Network). (2013年9月10日) 2013年9月10日閲覧。
- ^ a b c “ゴッホ最盛期の風景画、新たに発見” (日本語). AFPBB News (クリエイティヴ・リンク). (2013年9月10日) 2013年9月10日閲覧。
- ^ Vincent van Gogh (1888年7月5日). “636 (639, 508): To Theo van Gogh. Arles, Thursday, 5 July 1888.” (英語). Vincent van Gogh Letters. Van Gogh Museum. 2013年9月10日閲覧。
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