モロス_(恐竜)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > モロス_(恐竜)の意味・解説 

モロス (恐竜)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/03 09:42 UTC 版)

モロス
生息年代: 白亜紀後期セノマニアン, 96.4 Ma
発見部位のダイアグラム
地質時代
白亜紀後期セノマニアン
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜下綱 Archosauria
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
階級なし : 鳥吻類 Averostra
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria
階級なし : ティラノラプトラ Tyrannoraptora
上科 : ティラノサウルス上科 Tyrannosauroidea
: モロス属 Moros
学名
Moros
Zanno et al., 2019

モロス学名Moros)は、白亜紀後期セノマニアンにあたるアメリカ合衆国ユタ州シーダーマウンテン層から産出した、ティラノサウルス上科に属する獣脚類の属。モロス・イントレピドゥス1種のみが含まれる[1]。北アメリカ大陸で発見された最古のティラノサウルス上科の標本であり、これは今まで同大陸で最古とされていた標本から約1500万年遡るものである[1]

発見と命名

古生物学者により10年にわたる発掘調査が行われ、アメリカ合衆国ユタ州シーダーマウンテン層にて、丘の中腹から脚の骨が突き出ている様子が Lindsay Zanno らにより2013年に初めて発見された[2]2019年2月21日に新属新種として記載論文が公開された[3]

様々な角度から見た大腿骨

ホロタイプ標本 NCSM 33392 は後肢の骨であり、大腿骨脛骨・第4中足骨・第2中足骨・第4指の趾骨が含まれる。もう一方の標本 NCSM 33393前上顎骨の歯1本であり、原記載論文には咬合平面側・近遠心側・舌側から見た際の写真が掲載されている[1]

属名はギリシャ神話モロス(迫り来る破滅の化身)に由来し、北アメリカ大陸におけるティラノサウルス上科の系統の確立を反映している。種小名はラテン語intrepidus に由来し、モロスに続いて北アメリカ中にティラノサウルス上科が分布したとする仮説を反映する[1]

形態

復元図

モロスは小型の体躯を持つ走行に適したティラノサウルス上科であり、体重78キログラム、脚の長さは1.2メートルと推定される[1][4]。また、発見された個体は6 - 7歳と推定されている[1]。第3中足骨が第2中足骨と第4中足骨に挟まれて狭まるアークトメタターサル構造を有し、アークトメタターサル構造を持つティラノサウルス上科が遅くともセノマニアンの北アメリカに出現していたことを示している[1]。モロスの脚の骨は極端に細長く、中足骨の比率は白亜紀後期のティラノサウルス上科よりもオルニトミモサウルス類に近い[1]

分類

2019年に Zanno らが行った系統解析では、シオングアンロンティムルレンギアといったアジアの分類群の横に配置され、基盤的なパンティラノサウルス類とされた。ティラノサウルス科およびアパラチオサウルスドリプトサウルスよりも基盤的なティラノサウルス上科とされている[1]

アジアの基盤的ティラノサウルス上科と系統学的に近く、モロスがアジアから北アメリカへ移動した生物相の1つであることが示唆されている。小型で高度な走行性と発達した感覚器官を持つティラノサウルス上科は白亜紀前期末アルビアンまでに北アメリカ大陸へ侵入したが、適切な地形や気候および古生態系が揃ってアロサウルス上科が一掃されるまでは、ティラノサウルス上科は頂点捕食者にはなれなかった[1]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j Zanno, L.E.; Tucker, R.T.; Canoville, A.; Avrahami, H.M.; Gates, T.A.; Makovicky, P.J. (2019). “Diminutive fleet-footed tyrannosauroid narrows the 70-million-year gap in the North American fossil record”. Communications Biology 2 (64): 1-12. doi:10.1038/s42003-019-0308-7. 
  2. ^ Anna Johnson. “New dinosaur T. rex relative Moros intrepidus discovered”. News Observer. 2019年2月22日閲覧。
  3. ^ Michael Greshko (2019年2月21日). “New tiny tyrannosaur helps show how T. rex got big”. National Geographic. 2019年2月22日閲覧。
  4. ^ 北米の化石記録の大きな空白を埋める小さな恐竜の発見”. nature asia. Nature Research (2019年2月22日). 2021年2月5日閲覧。

「モロス (恐竜)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「モロス_(恐竜)」の関連用語

モロス_(恐竜)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



モロス_(恐竜)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのモロス (恐竜) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS