モダン・ハイカラ路線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 08:47 UTC 版)
東京吉本の特長は、伝統的な演芸路線を採る大阪吉本とは一線を画したモダン・ハイカラ路線であった。 東京吉本を代表する浅草花月劇場は、レビューの「吉本ショウ」を中心に、軽演劇の実演、映画の上映、流行歌手の歌、そして漫才などの演芸でバラエティに富んだプログラムを組んでいた。客は木戸銭を払って入場すれば、幕間や休憩時間を含め6時間ものプログラムの中で、映画も見られれば、歌も聞ける、お芝居も見られて、演芸も楽しめ、半日ゆったりと遊べる一種の娯楽センターであった。その興行形態は日本的な寄席・演芸場というよりもむしろ、アメリカのボードビル・ショウに近かった。 こうしたアメリカナイズされたステージ・ショウを繰り広げる浅草花月劇場は、オープンと共に浅草公園六区の観客を熱狂させ、たちまち人気を集めた。 演芸評論家の小島貞二によれば、「定員700人の浅草花月劇場はいつ行っても立ち見で超満員、劇場の前ではそれでも入場を求める人の流れが渦を巻いていた」という。高見順や永井荷風など文人にもファンが多く、当時の東京吉本のモダン・ハイカラ路線は、戦前の昭和モダニズムの一翼を担っていたと言えよう。
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