メルツィとサライ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 19:44 UTC 版)
「モナ・リザ (プラド美術館)」の記事における「メルツィとサライ」の解説
フランス博物館研究修復センターの主任学芸員であるブルーノ・モッティン(Bruno Mottin)は、マドリード版がレオナルド・ダ・ヴィンチの2人のお気に入りの弟子の1人であるフランチェスコ・メルツィ(英語版)あるいはアンドレア・サライ(ジャン・ジャコモ・カプロッティ)によって制作されたと想定している。サライは画家としてよりもレオナルド・ダ・ヴィンチとその工房のモデルとしてよく知られている。通常はサライに帰属される作品がいくつか知られているが、サライは絵画に署名しなかったため、マドリード版との比較が複雑になった。サライの作品の1つは、両性具有の外観を持つセミヌードの女性の肖像画『モナ・ヴァンナ』である(この作品の様々な複製の中で最も注目に値するのは、スイスの個人コレクションとエルミタージュ美術館に所蔵されているものである)。レオナルド・ダ・ヴィンチの作品を専門とする女性研究者兼作家のドロレス・ガルシア(Dolores García)は、この『モナ・ヴァンナ』とマドリード版の身体的特徴と技術の類似点、および他の要因により、サライをおそらく複製の制作者と見なすようになった。もっとも、批評家の中にはサライが描いたと考えるにはマドリード版は質が高すぎると考える人もいる。ガルシアによれば、メルツィは1506年から1507年にレオナルド・ダ・ヴィンチの工房に加わったため、本作品の制作にほとんど参加できなかったとのことである。フィレンツェの画家の主な専門家であるピエトロ・マラーニ(Pietro Marani)もサライまたはメルツィへ帰属を否定している。
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