ミハイル・イリーンとは? わかりやすく解説

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イリーン【Mikhail Il'in】

読み方:いりーん

[1895〜1953]ソ連児童科学物語作家本名イリア=ヤコブレビチ=マルシャークIl'ya Yakovlevich Marshak)。詩人サムイル=マルシャークの弟。「人間の歴史」は夫人のE=セガルとの共著


ミハイル・イリーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/08 03:55 UTC 版)

ミハイル・イリーンМихаил Ильин、ラテン翻字の例:Mikhail Il'in、1896年1月10日/ユリウス暦1895年12月29日 - 1953年11月15日)はソビエト連邦ウクライナ出身)の作家、児童向けノンフィクション作家である。姓の日本語表記はイリンイリインとも。名のミハイルはMと略されるか、完全に省略されることも多い。

経歴

ユダヤ系で、本名はイリヤ・ヤコヴレヴィチ・マルシャーク(Илья Яковлевич Маршак、翻字例:Il'ya Yakovlevich Marshak)である。詩人・児童文学作家のサムイル・マルシャークは彼の兄に当たる。「ミハイル・イリーン」のペンネームを名乗ったのは兄との混同を避けるためだという[1]。妹のエレナ・イリーナも作家である。

1896年にウクライナのエカテリノスラフ県バハムト市(現在のアルチョーモフスク市[2])で技術者・発明家の息子として生まれる。1915年、ペテルブルク大学に入学。物理・数学を学ぶ。のち、クラスノダール工業大学化学科へ。1922年からはレニングラード工芸大学に通い、1925年に卒業。文筆業を開始したのは在学中で、児童雑誌「新しいロビンソン」への寄稿を行なった。一時、工場で働くが身体を壊して退職。1929年に結婚。その後は文筆業に専念する[3]。1953年にモスクワで没。

作風

科学啓蒙的な読み物を得意とし、代表作は夫人エレナ・セガールとの共著『人間の歴史』[4]Как человек стал великаном, 1940-46)。ほかに児童向けの『書物の歴史』[5]、『灯火の歴史』(Солнце на столе, 1927)[6]、『時計の歴史』[7]なども有名。またソ連の体制との折り合いは良く、第一次五ヶ年計画を肯定的に扱った『偉大な計画の話』(Рассказ о великом плане, 1930)などを上梓してもいる(代表作『人間の歴史』も唯物史観に基づくものと称されている)。『十万の質問中国語版』は中華人民共和国でベストセラーとなった。また、1939年には労働赤旗勲章を授与されている。

主要作品リスト

本節では、選集および比較的あたらしい訳書を挙げた。

  • 「イリン選集」岩崎書店、1949 - 52年
    1. 『人間の歴史』(八住利雄訳)
    2. 『書物の歴史』(八住利雄訳)
    3. 『時計の歴史』(玉城肇訳)
    4. 『灯火の歴史』(和田節訳)
    5. 『すばらしきもの人間』(前田貞二訳)
    6. 『なぞの科学』(牧山敬訳)
    7. 『人間の歴史・続』(村川隆訳)、7 - 2.『人間の歴史・続々 - 古代文明物語』(村川隆訳)
    8. 『不思議の科学』(渋谷和雄訳)
    9. 『ルネッサンス』(村川隆訳)
    10. 『自然の征服』(袋一平訳)
  • 「イリーン名作全集」岩崎書店、1966 - 68年
    1. 「人間の歴史・第一部」(和久利誓一訳)
    2. 「人間の歴史・第二部」(和久利誓一訳)
    3. 「人間の歴史・第三部」(和久利誓一訳)
    4. 「灯火・時計・書物の歴史」(吉原武安訳)
    5. 「機械・望遠鏡の歴史」(馬上義太郎訳)
    6. 「大建設物語」(馬上義太郎訳)
    7. 「自然と科学の教室」(袋一平訳)
    8. 「自然の征服」(袋一平・馬上義太郎訳)
  • 袋一平訳『人間の歴史 1-3(岩波少年文庫)』岩波書店、1986年
  • 玉城肇訳『時計の歴史 - いま何時(科学入門名著全集5)』国土社、1991年
  • 原光雄訳『灯火の歴史 - 机の上の太陽(科学入門名著全集6)』国土社、1991年

脚注・出典

  1. ^ 『人間の歴史(上)』巻末、袋一平の解説による
  2. ^ 原綴Артёмовскen:Artemivskを参照
  3. ^ 以上、経歴については主に『人間の歴史(上)』巻末、袋一平の解説による
  4. ^ 原題の直訳は「人間はいかにして巨人になったか」
  5. ^ 原題の直訳は「白地に黒」。
  6. ^ 原題の直訳は「机の上の太陽」
  7. ^ 原題の直訳は「いま何時?」

関連項目

参考資料

  • 『岩波西洋人名事典 - 増補版』岩波書店、1981年
  • 『20世紀西洋人名事典』日外アソシエーツ編集部編、紀伊国屋書店、1995年
  • 『日本大百科全書(2版)』小学館、1994 - 96年
  • 『平凡社大百科事典』平凡社、1984 - 91年
  • 『Meyers Neues Lexikon』Leipzig : Bibliographishes Institut、1971 - 78年
  • 『ブリタニカ国際大百科事典 - 小項目事典』F・B・ギブニー編、TBSブリタニカ、1972年(93年第2版改訂)
  • 袋一平訳『人間の歴史(上下) - 岩波の愛蔵版34』岩波書店、1971年(80年第九刷)



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