マーストリヒト期の海水面の後退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 14:06 UTC 版)
「白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅」の記事における「マーストリヒト期の海水面の後退」の解説
白亜紀末期の海水位は、白亜紀中の他のどの時代よりも低かったという明確な証拠がある。マーストリヒト期の地層に含まれる岩石は、最初期は海底のものが多いが、その後のものは海岸線の示し、それ以降は陸生の層となる。こういった層は造山運動のような傾斜・褶曲を示さないので、海水面の低下によって陸上に現れたと考えられる。海面低下の原因について直接の証拠はないが、現在受け入れられている説として中央海嶺の活動性が低下し、自重で沈んでいったというものがある。 海面低下が深刻になると、海で最も種が多く分布する大陸棚部分が減少し、海洋生物種が大量絶滅を起こすとされている。しかし、このメカニズムではアンモナイトの絶滅は起こらないとされている。また、海面低下によって海流や気流が乱れ、地球のアルベドが減少することで世界的な気温の変動が引き起こされるとされている。 海水面の後退は西部内陸海路と呼ばれる白亜紀の北アメリカに存在していた内海を消滅させた。そのため生物の生息地は大きく変わり、ダイナソーパーク累層から産出される化石生物の多様なコミュニティーを支えていた海岸平野も失われた。 また、大陸から流れる水が海に到達するまでの距離が伸びた結果、淡水環境が拡大された。この変化は淡水産の脊椎動物にとっては好ましいものだったが、サメをはじめ海洋環境を好む生物種を苦しめることとなった。
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