マクスウェル方程式の対称性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 05:14 UTC 版)
「S-双対」の記事における「マクスウェル方程式の対称性」の解説
古典物理学では、電場と磁場の振る舞いはマクスウェル方程式として知られる一連の方程式で記述される。ベクトル解析の言葉では、電荷も電流もない空間の領域の中にいることを前提とすると、マックスウェル方程式は次のように書かれる。 ∇ ⋅ E = 0 , ∇ ⋅ B = 0 , ∇ × E = − ∂ B ∂ t , ∇ × B = 1 c 2 ∂ E ∂ t . {\displaystyle {\begin{aligned}\nabla \cdot \mathbf {E} &=0,\\\nabla \cdot \mathbf {B} &=0,\\\nabla \times \mathbf {E} &=-{\frac {\partial \mathbf {B} }{\partial t}},\\\nabla \times \mathbf {B} &={\frac {1}{c^{2}}}{\frac {\partial \mathbf {E} }{\partial t}}.\end{aligned}}} ここに E {\displaystyle \mathbf {E} } は電場を表すベクトル(さらに詳しくは、ベクトル場で、値を空間内の異なる点では変化しうる)で、 B {\displaystyle \mathbf {B} } は磁場を表すベクトルであり、 t {\displaystyle t} は時間、 c {\displaystyle c} は光速度である。これらの方程式で使われている他のシンボルは、ベクトル解析の中の勾配 (ベクトル解析)("grad"という記号)、発散 (ベクトル解析)("div"という記号)、回転 (ベクトル解析)("curl"という記号)を参照のこと。 これらの方程式の重要な性質は、電場 E {\displaystyle \mathbf {E} } を磁場 B {\displaystyle \mathbf {B} } へ、磁場 B {\displaystyle \mathbf {B} } を電場 − 1 / c 2 E {\displaystyle -1/c^{2}\mathbf {E} } へ同時に置き換える変換のしたで、不変であることである。 E → B B → − 1 c 2 E . {\displaystyle {\begin{aligned}\mathbf {E} &\rightarrow \mathbf {B} \\\mathbf {B} &\rightarrow -{\frac {1}{c^{2}}}\mathbf {E} .\end{aligned}}} 言い換えると、マクスウェル方程式の解く(英語版)ような電場と磁場が与えられると、これらの電場と磁場が入れ替えても、新しい場がマクスウェル方程式の解を再び与えるような新しい物理的な設定することが可能となる。 この状況が、場の量子論の中のS-双対の最も基本的な事項である。実際、以下に説明するように、場の量子論のフレームワークには、このマックスウェル方程式の対称性を直接一般化したS-双対のバージョンが存在する。
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