ポーポイジングの危険性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 14:45 UTC 版)
「グラウンド・エフェクト・カー」の記事における「ポーポイジングの危険性」の解説
グラウンド・エフェクトの弊害としてはポーポイズ現象(ポーポイジング)も挙げられる。ポーポイジングとは、車体のピッチング(車体の前部と後部が激しく上下に揺さぶられること)をグラウンド・エフェクト効果が増幅させてしまう現象である。加減速や路面の凹凸などで車体が上下に振動した際に、グラウンド・エフェクト効果の変化によってより大きく車体の挙動が変化する。車高が高くなるとダウンフォースが弱くなり、車高が低くなれば急激に強くなり、路面に接触するほど低くなると気流が流れなくなりダウンフォースが突如失われる。これにより、車体前後の上下振動が短いサイクルで激しく繰り返される状態となり、そのサイクルのタイミングによっては動作が増幅されやがて激しいピッチングを起こす。 この現象が始まると空力・サスペンションの制動を超え前輪が浮き上がるほどの状況になると、流入する大量の空気により跳ね上げられてしまう。ダウンフォースによって押し付けられていた後輪側の接地圧は前輪の浮き上がりによってウイング等の空力施設の影響を失い、なすすべもなくなった車体は数百kgの重量ながら宙に舞うことになるのである。 この現象の顕著な例として1999年のル・マン24時間レースに出場したメルセデス・ベンツ・CLRの事故(当レースにおいて、激しいピッチングの末に車体前部から浮き上がり宙を舞い、大クラッシュを起こした)がよく挙げられるが、この車はディフューザーこそ備えていたものの本質的にはフラットボトム・カーであり、狭義のグラウンド・エフェクト・カー(ウイングカー)の危険性というよりは、前輪が浮いたときに後部に空気の逃げ道が無くなるフラットボトム・カーであるが故に車体の下に空気を溜め込んでしまうことが浮き上がった原因であると言える。
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