ポーク海峡とは? わかりやすく解説

ポーク‐かいきょう〔‐カイケフ〕【ポーク海峡】

読み方:ぽーくかいきょう

Palk Straitインド南部タミルナドゥ州のカリメール岬とセイロン島ペドロ岬(ポイントペドロ)を隔て海峡。幅55キロメートルカーベリ川バイガイ川が運ぶ土砂流入する大陸棚にあるため、水深浅く大型船航行できない


ポーク海峡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/07 08:55 UTC 版)

NASAが撮影した衛星写真によるポーク海峡
ポーク海峡
ポーク海峡の位置

ポーク海峡(ポークかいきょう、シンハラ語: පෝක් සමුද්‍ර සන්ධිය タミル語: பாக்கு சலசந்தி / பாக்கு நீரிணை, Pok Samudra Sandhiyaインドタミル・ナードゥ州スリランカ北部州マンナール県の間の海峡である。海峡の名前はイギリス東インド会社マドラス知事ロバート・ポーク英語版(任期:1755年 - 1763年)に由来する。[1]

長さは約135km、幅は約65-135km[2][3]。80kmの幅がある海峡の南半分はポーク湾とも呼ばれ[2]、海峡は北東のベンガル湾と南西のポーク湾を結んでおり[4]、ベンガル湾に抜けるインドのカーヴェーリ川デルタ南東部とスリランカ北東部の幅はおよそ50kmに狭まっている[2]。タミル・ナードゥのヴァイガイ川英語版などの河川が海域に流れ込み、スリランカ領の多数の島を含んでいる。

ポーク海峡に面する地域の中で最大の都市は、スリランカのジャフナである[2][3]

地理

ポーク海峡の北部ではインドのカリメール岬英語版とスリランカのペドロ岬が向かい合っている。

ポーク湾の南端には、アダムスブリッジと呼ばれる低島と礁、砂州が広がり[1]インド神話ではこの地形はラーム・セートゥ(「ラーマの橋」の意)と呼ばれている。アダムスブリッジはタミル・ナードゥのパーンバン島英語版(ラーメーシュワラム島)のダヌシュコディ英語版とスリランカのマンナール島の間に広がっており、パーンバン島はパーンバン橋によってインド本土と繋がれている。

カリメール岬西側のマングローブラグーンと砂州が多いポーク海峡海岸の一部はヘラシギホシバシペリカンなどの鳥類および魚類エビカニの生息地で、2002年にラムサール条約登録地となった。ただし、果物の違法収集、外来種メスキート英語版Prosopis chilensis英語版の侵入および塩田の拡大と淡水流入の減少などによる塩分濃度の増加は環境保護上の問題となっている[5]

歴史

1914年にマドラス/チェンナイからダヌシュコディに向かう列車の定期便とマンナール島のタライマンナールへ向かうフェリーを乗り継ぎ、列車でコロンボに向かう交通ルートが開通した(ボート・メール・エクスプレス英語版)。1964年にサイクロンがダヌシュコディと鉄道を破壊し、ポーク海峡とポーク湾の沿岸に深刻な被害を引き起こした。[6]ダヌシュコディの再建はされず、タライマンナールからマハウィラチチヤ(Mahawilachchiya)に向かう鉄道の復旧工事は内戦のために一時期中断されたが、後に完全に再建された。過去にはラーメーシュワラムとタライマンナールの間の小さな埠頭からはフェリーが発着していたが、今日まで運航を休止している。[7]

スリランカ北部の情勢が不安定だった時期には、スリランカとタミル・ナードゥを往来する船舶は航行に困難をきたした[3]

周辺地域の人口の増加に伴い、ポーク海峡の水質の汚染が進行している[2]

運河の建設計画

カーヴェーリ川やヴァイガイ川などから流入した土砂によって形成される砂嘴と水深10m未満の浅い海域が、大型船舶のポーク海峡の通行を妨げている[8]。海峡を通過できない大型船はスリランカを周回しなければならない。1860年に最初に運河の建設計画がインドの植民地政府に提出され、以来多くの提案が持ち上がった。しかし、運河の建設による環境への影響、漁民への保障が問題となって建設は実行に移されなかった[9]2004年にはタミル・ナードゥ州の政府によって運河の建設がもたらす環境アセスメントと、技術的な可能性の調査が施行された。[10]

また、インドとスリランカを結ぶ、ポーク海峡の下を通る海底トンネルの建設計画も持ち上がっている。[11]

脚注

  1. ^ a b Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Palk Straits" . Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 20 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 635.
  2. ^ a b c d e 貞方昇「ポーク海峡」『世界地名大事典』第2巻、朝倉書店、2017年、1828頁。 
  3. ^ a b c Palk Strait”. Encyclopædia Britannica. 2019年4月閲覧。 エラー: 閲覧日は年・月・日のすべてを記入してください。
  4. ^ Map of Sri Lanka with Palk Strait and Palk Bay
  5. ^ Point Calimere Wildlife and Bird Sanctuary | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2002年8月19日). 2023年4月20日閲覧。
  6. ^ Land's end
  7. ^ Sri Lanka, India to relaunch ferry service after three decades
  8. ^ 藤原健蔵「ポーク海峡」『南アジアを知る事典』新版、平凡社、2012年、733頁。 
  9. ^ 秋山昌廣. “海を考える旅行記”. OceanNewsletter. 2019年4月閲覧。 エラー: 閲覧日は年・月・日のすべてを記入してください。
  10. ^ Harnessing the Troubled Waters: Sethusamudram Canal Project
  11. ^ Hegadekatti, Kartik (2016年1月6日). “THE TUNNEL FROM INDIA TO SRI LANKA”. オリジナルの2019年1月9日時点におけるアーカイブ。. http://www.blog.indianrailways.gov.in/the-tunnel-from-india-to-sri-lanka/ 2019年1月9日閲覧。  {{cite news}}: |archiveurl=の値が不正です。 (説明); 不明な引数|deadurl=は無視されます。(もしかして:|url-status=) (説明)

参考文献

  • 貞方昇「ポーク海峡」『世界地名大事典』第2巻、朝倉書店、2017年、1828頁。 
  • 藤原健蔵「ポーク海峡」『南アジアを知る事典』新版、平凡社、2012年、733頁。 
  • Palk Strait”. Encyclopædia Britannica. 2019年4月閲覧。 エラー: 閲覧日は年・月・日のすべてを記入してください。

外部リンク

座標: 北緯10度00分 東経79度45分 / 北緯10.000度 東経79.750度 / 10.000; 79.750




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