ボケ表現とパンフォーカスの効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 21:35 UTC 版)
「パンフォーカス」の記事における「ボケ表現とパンフォーカスの効果」の解説
ボケ表現の写真が、主たる被写体に対しスポットライトのように注意を集中させる効果があるのに対して、パンフォーカスの写真は全体に注意を分散させ、主たる被写体とその周囲の環境との関係を明確にするという効果を持つ。その結果、余計なものまで写りすぎてしまうという欠点ももつ。(右上の写真では他のカメラマンが中景にはっきり写りこんでいるが、右下の写真では背景の観光客はぼかされて不鮮明となり邪魔な感じが少ない。) ボケ表現は「柔らかい感じ」を、パンフォーカスは「硬い感じ」を表現するのに用いられることが多い。 ボケ表現は人間の視覚の世界に近い表現、パンフォーカスは写真独自の表現である。日本ではボケ表現が好まれる傾向が強いが、リアリズムを主張した土門拳、山岳写真の白川義員などボケをできるだけ排し、パンフォーカスを多用する写真家も多い。欧米では近年、ボケ表現が注目されてきているが、従来はパンフォーカスを理想とする考え方が強かった。 分野的にはパンフォーカスは風景写真によく用いられる。また、目視ピントのスナップ写真も存在する。これはピントを合わせる時間が節約でき、シャッターチャンスを逃さないという利点がある。 逆にあまりパンフォーカスが用いられない分野としては花の接写、女性のポートレート(やわらかい表現が求められる)などがある。また被写界深度が浅い超望遠レンズで速いシャッター速度が要求されるスポーツ写真では、結果的に背景がボケたものが多く見られる。
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