ベルヌ条約との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:11 UTC 版)
「著作権の準拠法」の記事における「ベルヌ条約との関係」の解説
他方、ベルヌ条約も、加盟国に対し著作権の保護期間について相互主義の採用を許容しているが(ベルヌ条約7条(8))、最初から著作権が発生しない扱いをされる著作物の扱いにつき万国著作権条約と同様の解釈ができるか否かについては公的な解釈が確立されていない。同様の解釈ができるという見解もないわけではないが、ベルヌ条約では同様の解釈はできず(つまり著作権の保護期間の問題ではない)、内国民待遇の原則を維持すべきとの見解の方が支配的である。後者の解釈によると、万国著作権条約とベルヌ条約の双方に加盟している国との間ではベルヌ条約が優先して適用されるので(万国著作権条約第17条に関する附属宣言)、両条約に加盟している国間では、ある国では最初から著作権による保護を受ける状態にあるとされながら、別の国では著作権の保護を受けることがあり得る。 例を挙げると、前述したアメリカ合衆国政府の職員が職務上作成した著作物は、同国の著作権法では著作権は付与されない (17 U.S.C. §105)。しかし、問題となる著作物を日本国内で利用する場合、著作者の国籍・居住地や最初の発行地にかかわらず日本法が準拠法とされ、著作権法6条3号により「条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」に該当するかが検討される。そして、日米ともベルヌ条約に加盟しているため、日本は問題となる著作物の保護につき内国民待遇が要求され(ベルヌ条約5条1項)、日本の著作権法の下で著作権が発生すると解されるかどうかを判断することになる。
※この「ベルヌ条約との関係」の解説は、「著作権の準拠法」の解説の一部です。
「ベルヌ条約との関係」を含む「著作権の準拠法」の記事については、「著作権の準拠法」の概要を参照ください。
- ベルヌ条約との関係のページへのリンク