ベッチ、連結度の高次元化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 13:06 UTC 版)
「ホモロジー (数学)」の記事における「ベッチ、連結度の高次元化」の解説
病弱だったリーマンは頻繁にイタリアに療養に出かけていた。イタリアでは友人のベッチに会っていた。 1863年、ベッチは友人でもあり同僚でもある Tardy に宛てた手紙の中で、リーマンと空間の連結度について話し合い、空間の連結度についてのアイデアが明確になった、と書いている。ベッチが手紙に書いた空間の連結度とは次のように定義される。まず単連結の概念を高次元化する。空間が単連結であるとは、すべての閉曲面がある部分空間の境界になり、すべての閉曲線がある部分曲面の境界になることとする(現代の定義とは異なる)。例えば中身の詰まった球は単連結である。そして、空間の連結度が (m, n) であるとは、空間を単連結にするために必要な曲面による切断が m 回、曲線による切断が n 回であることと定義する。例えば中身の詰まったドーナツを考える。これは単連結ではないが、ドーナツの一部を円板に沿って切断すれば単連結になるので、この空間の連結度は (1, 0) である。ベッチが手紙に書いている連結度はリーマンの学位論文に見られるアイデアを高次元化したものと思える。 1866年、リーマンが39歳で死亡する。 1871年、ベッチは "Sopra gli spazi di un numero qualunque di dimensioni" と題した論文を公表する。こちらでは、高次元空間の m 次元の連結度を m + 1 次元部分空間の境界にならない m 次元部分空間の最大数として定義しているようである。これは、リーマンの1857年の論文「アーベル関数の理論」におけるアイデアを高次元化したものと思える。
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