プロセスの挙動 (MPM)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:16 UTC 版)
「Apache HTTP Server」の記事における「プロセスの挙動 (MPM)」の解説
Apacheは数多くのOSをサポートするために、MPM(マルチ プロセッシング モジュール)という仕組みをとっている。これにより、利用するOSに最適化されたApacheを容易に組み込むことができる。 Unix系においては、プロセス・スレッドの挙動が異なる3つのMPMが利用できる。 prefork preforkは「スレッドを使わず、先行して fork を行なうウェブサーバ」である。Apacheは伝統的に親プロセスを1つ持ち、クライアントからリクエストが来ると自分自身をコピーして子プロセスを起動する(これをforkという)。実際の通信は子プロセスが受け持つ。そのため、通信している数だけ子プロセスが起動することになる。この時、クライアントからリクエストを受けたあとでforkするとfork完了までに待ち時間が出来て通信のパフォーマンスが遅くなる。そのため、あらかじめいくつかの子プロセスをforkしておき、forkの待ち時間をなくす方式をとっている。この方式が「prefork」である。すなわち“pre(=前もって・先行して)”forkしておく、という意味である。 preforkのメリットは、forkされた子プロセス1つ1つが対応する通信を受け持つため、ある子プロセスが何らかの原因でフリーズしたとしても、他の子プロセスには影響を及ぼすことが無く通信を継続できる。このため安定した通信を行うことが出来る。一方、クライアントが多くなればなるほど子プロセスの数も増えるため、使用メモリ量やCPU負荷が比例的に増大していく。preforkで多数のクライアントをさばくには、それに応じた大量のメモリと高速なCPUが必要となる。 worker workerは「マルチスレッドとマルチプロセスのハイブリッド型サーバ」である。Apacheの子プロセス1つ1つがマルチスレッドで動作し、スレッド1つが1つのクライアントを受け持つ方式である。すなわち、1つのプロセスがマルチスレッドを利用して複数の通信の面倒を見る。この点で1つのプロセスが1つの通信をみるpreforkとは異なる。また多くの子プロセスを起動せずに済むため、メモリの使用量も減らすことが出来る。 event eventはworkerの一種でマルチスレッドで動作する。workerとの違いはKeep-Alive(持続的接続)の処理方法である。workerやpreforkは、Keep-Aliveの持続性を保つために一度利用したスレッド・プロセスをそのまま待機させている。しかしクライアントからの接続が持続的に行われる可能性は保証されているわけではないから、待機していること自体が無駄になる可能性もある。そこで、Keep-Aliveの処理を別のスレッドに割り振って通信を処理する。 この方式は長らく実験的サポートであったが、2.4.1にて正式に採用された。 このほか、Netware、OS/2、Windows向けにそれぞれ専用のMPMが用意されている。
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