プレ膜孔と膜孔の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/27 09:58 UTC 版)
「コレステロール依存性細胞溶解素」の記事における「プレ膜孔と膜孔の形成」の解説
ウェルシュ菌によって分泌されるパーフリンゴリジンO(PFO; TC# 1.C.12.1.1)は膜孔形成の始まりに標的膜のコレステロールに結合する。最初の結合はPFOのドメイン4(D4)のC末端で起こる。PFO単量体はオリゴマー化してプレ膜孔複合体を形成する。 オリゴマー化は標的膜への結合に必須である。CDCのオリゴマー化は、タンパク質-脂質相互作用またはタンパク質-タンパク質相互作用から始まる両親媒性ベータ鎖へのαヘリックス領域の変換を必要とする。水溶性形態は、単量体のコアβシートのある1つの縁部へと接触することによってオリゴマー化を阻止される。具体的には、短いポリペプチドループであるβ5はβ4と水素結合し、β4が隣接単量体のβ1と相互作用することを防ぐ。膜表面へのD4の結合はドメイン3の構造変化を引き起こし、β5をβ4から離れさせるように回転させてβ4を露出させ、別のPFO分子のβ1鎖と相互作用させ、オリゴマー化は始まる。 35個以下の数のPFO単量体から2つの両親媒性膜貫通型β-ヘアピンが協奏的に挿入されると膜孔形成が始まり、膜を貫通する巨大なβ-バレルが作られる。βバレルが形成されることによって、単一のβヘアピンの集合が挿入される場合と比べてエネルギーの必要量を低下させ、CDCが膜に挿入される際のエネルギー障壁を迂回させる。水溶性単量体形態において、ドメイン3の中心βシートの両側に位置する膜貫通βヘアピンは、疎水性残基の露出を最小限に抑えるため、折り畳まれて3つの短いαヘリックスとなる。αヘリックスは標的細胞膜二重層に挿入され、コンフォメーション変化が両親媒性βヘアピンで起こる。βヘアピンの親水性表面が疎水性の標的膜コアではなく周囲の水系溶液に露出したままとなるようにするための協奏機構が挿入過程に必要である。 D3中の6つの短いαヘリックスは、2つの膜貫通βヘアピン(Two Transmembrane β-Hairpin:TMH)のTMH1(赤)およびTMH2(緑)を形成するよう解かれる。
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