プラクティカル数とエジプト式分数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/12 02:35 UTC 版)
「プラクティカル数」の記事における「プラクティカル数とエジプト式分数」の解説
n がプラクティカル数であれば、任意の有理数 m/n (m < n) は nの異なる約数を di としたときに、 ∑di/n で表せる。それぞれの項は単位分数に約分できるため、 m/n はエジプト式分数で表せる。例えば、 13 20 = 10 20 + 2 20 + 1 20 = 1 2 + 1 10 + 1 20 . {\displaystyle {\frac {13}{20}}={\frac {10}{20}}+{\frac {2}{20}}+{\frac {1}{20}}={\frac {1}{2}}+{\frac {1}{10}}+{\frac {1}{20}}.} 1202年、フィボナッチは『算盤の書』において、有理数のエジプト式分数での表現を見つける手法を列挙した。このうち、最初の処理は、その数が単位分数であるかの判別であるが、2つめの処理は、上述のように分母の約数の合計として分子の表現を探索することに対応する。この手法はプラクティカル数である分母に対してのみ成功することが保証されている。フィボナッチは分母として、6, 8, 12, 20, 24, 60, 100を用い、これらについての表を与えた。. Vose (1985)は任意の数 x/y に対してたかだか O ( log y ) {\displaystyle \scriptstyle O({\sqrt {\log y}})} 項でのエジプト式分数の表現が存在することを示した。この証明にはプラクティカル数の列niを見つける処理が含まれており、ni以下のそれぞれの数に対してたかだか O ( log n i − 1 ) {\displaystyle \scriptstyle O({\sqrt {\log n_{i-1}}})} 個の異なるniの約数が存在することを用いる。ここで、 i は ni - 1<y≤niであり、 xni は yで割ったときに商 q とあまり r をもつ。これにより x y = q n i + r y n i {\displaystyle \scriptstyle {\frac {x}{y}}={\frac {q}{n_{i}}}+{\frac {r}{yn_{i}}}} となる。それぞれの分子を展開することで、所望のエジプト式分数の表現が得られる。Tenenbaum & Yokota (1990)は異なるプラクティカル数の数列を含んだ似た手法を用い、任意の有理数 x/y がエジプト式分数の表現を持ち、その最大の分母が O ( y log 2 y log log y ) {\displaystyle \scriptstyle O({\frac {y\log ^{2}y}{\log \log y}})} であることを示した。 孫智偉が2015年9月に出した予想によれば、すべての正の有理数は、分母がすべてプラクティカル数であるエジプト式分数の表現を持つ。そしてその証明はデビッド・エップシュタインのブログにある。
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