ブルバキの業績
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/04 02:41 UTC 版)
ブルバキの主な業績は、7000ページ以上に及ぶ『数学原論』(Éléments de mathématique) の執筆である。元は微分積分学の現代的な教科書を書くのが彼らの目的だったが、作業が中途で肥大化し、その目的は捨て去られた。最終的には集合論の上に現代数学を厳密かつ公理的に打ち立てることにその目標は向けられる。彼らはそこで、代数構造・順序構造・位相構造という三つの構造概念、フィルターなどいくつかの新しい概念や術語を導入し、現代数学に大きな影響を与えた。その完璧な厳密性と一般性を求める叙述はブルバキスタイルと呼ばれるようになる。ただしブルバキの狙いは、決して最大限の一般性ではなく、最大限の有効性を備えた一般性、最小限の一般化である。 ブルバキの影響は年と共に次第に低下していった。その理由の一つは、ブルバキの影響を受けた本が他にも出版されるようになり、ブルバキの本の独自色が失われたためである。またひとつには、重要と考えられるようになった別の抽象化、例えば圏論などをカバーしていないためでもある。ブルバキのメンバーの一人アイレンベルグは圏論の創始者であり、グロタンディークも圏論を積極的に論じた。だが圏論を導入するには、それまでに発表されてきたブルバキの著作に根本的な修正を与えなければならなかった。そのため圏論についてのブルバキの著作は準備されていたものの、結局は書かれなかった。 若干の続刊も出されてはいるものの、38冊をかけた日本語版は全部絶版である。ただし、数学史だけが文庫で手に入る。
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