ブランケット・モジュールの基本構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/19 19:05 UTC 版)
「ブランケット」の記事における「ブランケット・モジュールの基本構造」の解説
ブランケット・モジュールは内部に2つの空間を備えた支持構造体で、リチウムの交換や金属の劣化などに対応するために炉壁から取り外して交換が可能な形態となる。プラズマ側の空間にはベリリウムなどの中性子増倍材をペブルと呼ばれる微小球(直径1ミリメートル以下)の形で収め、プラズマから離れた側の空間には酸化リチウムなどのトリチウム増殖材を同じくペブルで収める。いずれの空間にも、隙間にヘリウムなどの不活性ガスを流し、また多くの冷却パイプを通わせ中に減速材と冷却材を兼ねる高圧水を流す。ブランケットの構造体や冷却パイプなどの部材は中性子に対して放射化やスウェリングの影響を受けにくい材質を選ぶ必要がある。この構造体は強い磁場の中で強力な力を受けるので、力学的にも強固でなければならない。またこの構造体は高温の環境で機能しなければならないので、単に溶けないだけでなく大きな歪みや割れを生じてはならない。 ブランケット・モジュールのプラズマに直接接する面は第一壁と呼ばれ、最も激しい粒子線に曝されるため部材選択に関して重要な技術開発の対象である。 支持構造体(低誘導放射化フェライト鋼など)中性子増倍材(ベリリウムなど) トリチウム増殖材(酸化リチウムなど) 冷却(重水素回収)ガス(ヘリウムなど) 冷却パイプ(ステンレスなど)減速材・冷却材(水) 配管接続部や壁面固定部 冷却材はブランケットを出た後で熱エネルギーが発電のための使われ、十分に冷めた後で再びブランケットへ送られ再び高温からブランケットを守る。冷却ガスは三重水素回収系を経て、おそらく十分に冷めた後で再びブランケットへ送られる。ただし実験炉であるITERでは発電は行なわれないため、熱エネルギーは大気中へ捨てられる。 ブランケットには上記のように複数の機能を併せ持つものもあれば、遮蔽ブランケット、増殖ブランケット、発電ブランケットと単機能のものも考えられている。上図はその開発過程のテスト用のブランケットの概念を示したものである。
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