フラクタル宇宙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 03:16 UTC 版)
「オルバースのパラドックス」の記事における「フラクタル宇宙」の解説
一方で、多数の恒星からなる銀河系が散らばる宇宙という新たな宇宙像は、宇宙の階層構造により謎が解決されるかもしれないという新たなアイデアを生み出した。 すなわち、恒星が銀河という集団を作り、その銀河同士がさらに大きなスケールで再び集団を作る、といったことがもし無限に繰り返されていれば、星の間に暗い隙間が残る可能性がある。 1848年にはすでにジョン・ハーシェルが、恒星が現代で言うところのフラクタル状の階層構造をもてば、無限の島宇宙が存在してもパラドックスは発生しないかもしれないとリチャード・プロクター (Richard A. Proctor) に宛てた手紙の中に記していた。 また、ライトの研究に感銘を受けた著名な哲学者イマヌエル・カントも同様の無限の階層をもつ宇宙像を思い描いていた。 現代的に言えば、宇宙が無限でフラクタル構造を持つとすれば、星の分布のフラクタル次元が平面と同じ2よりも小さいときには、星はまばらとなり宇宙には暗闇が生き残るのに十分なものとなる。 すなわち、例えばスケールを2倍に拡大したとき、8倍に増える体積の中で星の数が4倍未満でしか増えないという関係が無限のスケールまで拡大したときに成り立つようなら、夜空の星は暗闇を残し離ればなれのままとなる。 こうしたまばらな階層的宇宙像は別の力学的問題も解決すると思われたため、20世紀はじめにカール・シャーリエらによって熱心に主張され一定の支持を得た。
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