フォン・ベケシの進行波モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 22:59 UTC 版)
「蝸牛」の記事における「フォン・ベケシの進行波モデル」の解説
蝸牛管の機構について説明する最も素朴な見方は、それをピアノの弦のようにみなすことである。 すなわち周波数順に並んだ弦それぞれが入力に応じて共振し神経へと情報を伝えるのだとする。 実際、19 世紀にヘルムホルツは基底膜をそれぞれ異なる固有振動数をもつ繊維の集まりのように表現するモデルを提出していた。 こうした見方は1960年になってハンガリー出身のアメリカの生物物理学者フォン・ベケシ (Georg von Békésy) により流体力学的相互作用を考慮した基底膜を伝わる進行波としてのより精緻なモデルで置き換えられた。 あぶみ骨から蝸牛の基部の液体に伝えられた純音の振動は流体の流れを作り出して基底膜を揺らしながら頂部へ向かって波として伝わる。 この振動は周波数に応じたある距離までしか到達しない。 入力が高い音なら振動はわずかしか伝わらず、低い音なら先端の方まで振動が及ぶ。 この限界の距離の少し前で基底膜の振動は最も大きくなり、異なる音の高さの純音はそれぞれ基底膜の蝸牛管に沿った異なる位置で振動パターンを作り出す。 このモデルではこのパターンが純音の神経反応と対応するとみなされるが、これは各位置に固有振動数を対応づける点ではピアノのモデルと大きくは違わない。
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